トップ コラム ストレスチェックに関する取り扱いの注意点

ストレスチェックに関する取り扱いの注意点

  • ストレスチェック
ストレスチェックの受検率が低くなる一つの要因として、労働者にストレスチェック制度の趣旨が正しく浸透しておらず、労働者が素直にストレスチェックを受検することによって自身がデメリットを被るのではないかという誤った認識をされていることが挙げられます。

ストレスチェックコラム:ストレスチェックに関する取り扱いの注意点

ストレスチェックでは労働安全衛生法第66条の10に基づき「労働者に対する不利益な取り扱いの防止」が示されています。
事業者はストレスチェックや医師面接指導において把握した労働者の健康情報等を基にして労働者の健康の確保に必要な範囲を超えて、労働者に対して不利益な取り扱いを行うことがあってはなりません。

禁止される不利益な取り扱いとは、具体的には下記のような内容を指します。

● ストレスチェックの受検について

労働者が受検しないこと等を理由とした不利益な取り扱い
ストレスチェック結果を理由とした不利益な取り扱い
ストレスチェック結果を事業者に提供することに同意しない労働者に対する不利益な取り扱い

● 医師面接指導について

医師面接指導の申出をしたことを理由とした不利益な取り扱い
医師面接指導の申出を行わない労働者に対する不利益な取り扱い
医師の面接指導を行うことまたは面接指導の結果に基づく必要な措置について医師の意見を聴取することなく、不利益な取り扱いを行うこと
面接指導結果に基づく措置が、医師の意見とは著しく異なるまたは労働者の実情が考慮されていないなど、法令上求められる用件を満たさない内容の不利益な取り扱い

● 医師面接指導の結果に基づいて

解雇すること
期間を定めて雇用される労働者について契約の更新をしないこと
退職勧奨を行うこと
不当な動機や目的をもって配置転換または役職や職位の変更を命じること
その他、労働関連法令に違反する措置を講じること

ストレスチェックコラム:ストレスチェックに関する取り扱いの注意点

常時50名以上の労働者を使用する事業場において、事業者はストレスチェックを実施しなければならない義務がありますが、一方で労働者にはストレスチェックを受検しなければならない義務はありません。
メンタルヘルス不調ですでに治療中であり受検の負担が大きいなど、特別な理由がある労働者には配慮が必要であるため、受検しないことを理由にその労働者を降格させたり、全社に名前を公表して受検を強制するなど、労働者にとって不利益な取り扱いをしてはいけません。ストレスチェックを実施する義務について、詳しくは以下のコラムでもご紹介しておりますので興味がある方はご覧ください。
(ストレスチェックの受検勧奨と受検率の向上
https://heisei-ikai.or.jp/column/stresscheck-test/

ストレスチェックの結果は労働者本人の同意があれば事業者が把握することができます。しかし、結果の開示を強制したり、労働者から開示された結果を、医師の面接指導を経ずに人事評価に用いて配置転換等の就業上の措置を講じたりすることはできません。
これは、保健師・歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師・産業カウンセラー・臨床心理士等の心理職が相談対応等を行った場合も同様です。個人のストレスチェック結果をもとに、配置転換等の就業上の措置を講じる場合は、必ず医師面接指導を行って医師の意見を聴取したうえで適切に検討しましょう。

高ストレス者に該当する労働者に対して、事業者はできるだけ労働者が医師面接指導を受けられるよう、申出の勧奨を行うことが望ましいと言えます。ただし、ストレスチェックの受検と同様に、労働者に医師面接指導を強制することはできません。労働者が安心して医師面接指導の申出ができるよう、予め医師面接指導の勧奨の方法や頻度、周知方法など、衛生委員会等で調査審議を行い、労働者に伝えることが必要です。
面接申出の勧奨を行うポイントは、以下のコラムでも詳しく記載しています。
(高ストレス者が申し出る医師面接指導とは?
https://heisei-ikai.or.jp/column/stress-check-interview/

労働者の申出により就労時間内に医師面接指導を行う場合、業務の調整などにより予め当該労働者の上長に、事業者から事情を伝える必要があることも考えられます。その際にも事業者は、上長に情報が伝わってもよいか、事前に当該労働者に確認を行い、本人の同意を得たうえで情報を共有しましょう。また、情報を伝えた上長にも、当該労働者に対する不利益な取り扱いがないよう、事業者から丁寧に伝えることが大切です。

不利益な取り扱いの防止については、予め衛生委員会の中でよく調査審議しましょう。そして、その内容をストレスチェック実施前に労働者に丁寧に周知することによって、労働者が安心してストレスチェックを受検できる環境を整えることが大切です。
労働者にストレスチェックの趣旨が正しく伝わり、積極的に受検してもらえるようになると事業者にとっても労働者にとってもより効果的なものとなります。

平成医会では「労働者に対する不利益な取り扱いの防止」に関する衛生委員会で必要な調査審議についても、専任担当者がより詳細にご助言やサポートをさせていただきます。
お困りのことがありましたら、お気軽にお問合せください。


著者:長谷川 大輔
精神科専門医
医療法人社団 平成医会
産業医統括責任者


当コンテンツの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。