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ストレスチェック制度に関する労働者の健康情報の保護

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ストレスチェックを効果的に運用するためには、労働者が安心して受検をすることができるよう、事業場において、労働者の健康情報の保護が適切に行われることがとても重要です。 当然のことですが、事業者がストレスチェックに関する労働者の秘密を不正に入手するようなことや、労働者の不利益に繋がる取扱いがあってはなりません。 このため、労働安全衛生法の規定においては、労働者の健康情報の取扱いの留意点が細かく定められています。

ストレスチェックコラム:ストレスチェック制度に関する労働者の健康情報の保護

(1) 労働者の健康情報の保護の重要性

ストレスチェックに携わる産業保健スタッフを中心とする関係者は、適切な健康情報の保護に努めるとともに、事業者による不適切な取扱いがなされることのないよう、十分に留意することが必要です。
産業保健スタッフの体制が十分でない事業場においては、人事労務管理部門の職員がストレスチェックの実施の事務(実施事務従事者)に携わることもあるでしょう。こうした場合にも、法の規定に基づき秘密の保持義務が課されます。情報管理の重要性を認識し、上司や事業者を含めた第三者に情報が漏れることのないよう、細心の注意を払いましょう。

(2) 実施事務従事者の範囲と留意事項

労働者の解雇、昇進又は異動に関する権限を持つ監督的地位にある人は、ストレスチェックの実施の事務(実施事務従事者)に従事することはできません。
なお実施者は、ストレスチェックの実施の事務に携わる人(実施事務従事者)に対して、予め次の事項を周知させることが必要です。

  1. ① 実施事務従事者には法に基づき秘密の保持義務が課されること。
  2. ② 実施の事務は実施者の指示により行うものであり、上司等の指示を受けてストレスチェックによって知り得た労働者の秘密を漏らしたりしてはならないこと。
  3. ③ ストレスチェックによって知り得た労働者の秘密を、ストレスチェックとは関係しない業務に利用してはならないこと。

(3) ストレスチェック結果の労働者への通知にあたっての留意事項

事業者はストレスチェックを受けた労働者に対し、遅滞なく結果が通知されるようにしなければなりません。結果を通知するに当たっては、封書又はメール等で直接通知させる等、本人以外が結果を把握できない方法で通知することが必要です。

ストレスチェックコラム:ストレスチェック結果の事業者への提供にあたっての留意事項

(4) ストレスチェック結果の事業者への提供にあたっての留意事項

個人のストレスチェックの結果は、当該労働者が同意した場合に限り、事業者が知ることができます。労働者からの同意の取得は、労働者への結果を通知した後に、個人ごとに確認することが望ましいでしょう。労働者が個々に同意したこと証拠を残すため、同意確認の結果は、書面または電磁的記録によって行い、記録は5年間保存するようにしてください。

本人の同意により事業者に提供されたストレスチェック結果の共有範囲や利用方法については、あらかじめ衛生委員会等で調査審議を行い、ルールを決めて、周知しておきましょう。
衛生委員会の調査審議の結果、事業者による個人のストレスチェックの結果の把握は行わないこととした場合は、労働者からの同意取得の手続きは不要です。ただしこの場合でも、労働者から医師による面接指導の申出がなされた場合については、事業者へのストレスチェック結果の提供の同意がなされたものとみなすことができます。

衛生委員会で労働側代表の同意を得ることで労働者全員の同意を得たとみなしたり、期日までに不同意の意思表示をしない限り同意したものをみなす旨を通知したりするなどの方法は不適切です。また同意しないと意思表示した労働者に、同意を働きかけることはしてはいけません。

(5) 集団分析の結果の事業者への提供に当たっての留意事項

集団分析は個人のストレスチェック結果を把握できるものではないことから、実施者が集団分析の結果を把握するに当たっては、労働者個人の同意を取得する必要はありません。
ただし、集計・分析の単位が10人未満など少人数である場合には、個々の労働者が特定される可能性があることから、対象となる全ての労働者の同意を取得することが必要です。
例外として、個人特定につながり得ない方法で集団分析を実施する場合に限っては、10 人未満の単位でも集計・分析を行い、労働者の同意なしに結果を事業者に提供することは可能です。なお、この場合も、2 名といった極端に少人数の集団を対象とすることは、個人特定につながるため不適切です。

集団分析の結果は、対象となった集団の管理者等にとっては、その当該事業場内における評価等につながり得る情報であり、無制限にこれを共有した場合、当該管理者等に不利益が生じるおそれもあります。そのため事業者は、事業場内で制限なく集団分析の結果を共有してはなりません。
集団分析結果の共有範囲や利用方法については、あらかじめ衛生委員会等で調査審議を行い、事業場のルールを決めて周知しましょう。

ストレスチェックを外部に委託する場合にも、上記の点が適切になされるかどうかについて、事前に十分な確認を行いましょう。
委託先の選定にあたって、厚労省では「外部機関にストレスチェック及び面接指導の実施を委託する場合のチェックリスト例」も公開しています。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150803-2.pdf

平成医会が提供するストレスチェックは、厚労省の実施マニュアルに準拠した適切な体制を整えております。実施をご検討の際は、お気軽にお問合せください。


著者:長谷川 大輔
精神科専門医
医療法人社団 平成医会
産業医統括責任者


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