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ストレスによって引き起こされる難聴

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みなさんは耳の聞こえにくさを経験したことはありますか。 耳の聞こえにくさと一言で表しても、全く聞こえないのか、聞こえにくい程度なのか、状態はさまざまです。 意外にも耳の病気は疲労やストレス、体調不良から起こるものもあります。 難聴になる病気はいくつもありますが、今回は突発性難聴について解説します。

メンタルヘルスコラム:ストレスによって引き起こされる難聴

急に起こるのが突発性難聴

突発性難聴は、突然、左右どちらかの耳(ごくまれに両方)の聞こえが悪くなる病気です。
「昨日までは全く問題なかったのに、今朝起きたら片耳が聞こえない」というのがよく見られるパターンです。
耳が聞こえにくいことを「難聴」といいますが、突発性難聴は音をうまく感じ取れないタイプの難聴(感音難聴)です。突発性難聴の症状には程度があり、「いつもよりなんとなく聞こえにくい」と感じる程度から、ほとんど聞こえない状態になる人までいます。また、同時に耳閉感(耳が詰まった感じ)や耳鳴り、めまい、吐き気などを伴うこともあります。

突発性難聴の発症状況

2001年の厚生省研究班調査によると「突発性難聴で治療を受けている人」は年間で約35,000人と推定されており、決して少ない数ではありません。小児から高齢者までどの年代でも発症しますが、好発年齢は30~60歳代で、特に50歳代が多いといわれています。男女差や左右差はありません。以前は中高年に多い病気と考えられていましたが、最近では10代から20代の若い女性や男性にも発症が認められており、年齢や性別による偏りがなくなってきています。このことからも、突発性難聴はいつ誰にでもなりうる病気だということがわかります。

突発性難聴の原因

耳の奥にある蝸牛(かぎゅう)という器官に何らかの障害が生じることが原因で、音が聞こえなくなりますが、はっきりとした原因は明らかになっていません。あくまで説ですが、「ウイルス感染説」と「内耳循環障害説」の2つが有力な説として挙げられています。
突発性難聴は、再発がほとんどなく、発症前に風邪を引いていたり、体が弱っていたという人が多いことや、おたふく風邪や麻疹といったウイルス疾患によって急な高度難聴が引き起こされることなどから、突発性難聴のウイルス感染説が疑われています。
もうひとつの有力な説である「内耳循環障害説」は、血流障害によって十分な血液が内耳(=音を聞くための器官)に行き渡らずに、十分に機能しなくなることを言います。身体の各器官が正常に機能するためには血液が欠かせないため、こちらの「内耳循環障害説」は医学的に有力な原因と考えられているのです。

上記の説がありますが、ストレスや過労、睡眠不足、不規則な生活、糖尿病などは突発性難聴の誘因となることがわかっています。

メンタルヘルスコラム:治療のカギは早期治療

治療のカギは早期治療

突発性難聴の治療において、最も重要なポイントは、早期受診・早期治療です。
難聴は耳の症状ですので、受診をする場合は耳鼻科を受診することになります。
発症から治療までの時間が非常に重要で、症状を自覚してから48時間以内に治療を開始すれば、改善する見込みが高くなりますが、治療開始が遅くなればなるほど、聴力が回復する見込みは少なくなります。

治療は、内服や点滴の副腎皮質ステロイド薬による薬物療法が中心です。また、血管拡張薬やビタミンB12製剤、代謝促進薬などを使うこともあります。ストレスの影響を考慮し、なるべく安静にして過ごすようにします。
突発性難聴は治るかどうかは、症状の程度や発症から治療開始までの時間や治療方針によって異なってきますが、発症者のうち、1/3が完全治癒し、1/3が一部改善し、1/3程度が難聴を患ったままになってしまうといわれています。

ストレスで引き起こされる突発性難聴以外の病気

ストレスによって発症する難聴は突発性難聴以外にもあります。

① 低音障害型感音難聴

低音域だけが聞こえにくくなる状態を低音障害型感音難聴といいます。耳が詰まった感じがする・低音の耳鳴りがするといった症状が少しずつ現れてくるのが特徴です。20代~40代の若い女性がかかりやすい難聴とされています。疲れやストレス・睡眠不足が続いてしまうと発症しやすくなり、再発も見られます。

② メニエール病

耳の内側(内耳)にリンパ液が溜まることによって生じる病気で、回転性めまい・耳鳴り・頭痛・難聴・吐き気などの症状で、繰り返す特徴があります。原因ははっきりしていませんが、ストレス・過労・睡眠不足ではないかと言われています。

ストレス軽減で突発性難聴を防ぐ

突発性難聴の原因は明らかになっていないため、突発性難聴の予防として出来ることは、やはりストレスを溜めないようにすることです。趣味や興味のあるスポーツを積極的に行って体を動かし、気晴らしに気心の知れた友人と会って話をしたり、連絡を取り合うことも効果があります。普段は行わない新鮮なことや、好きなことを思いっきり楽しむのも、ストレスから解放される手段になるのです。

今回は、突発性難聴について解説しました。
突発性難聴に罹った人は共通して「野菜不足だった」「疲労を日々感じていた」「生活習慣が偏っていた」というデータがあります。発症との関係は明確ではありませんが、突発性難聴は、私たちのストレス社会において増加傾向であり、身近な病気になってきているため、過剰なストレスから身を守る必要があります。
また、突発性難聴は苦痛症状が伴わないため、時間が出来たら受診しようと思い、つい受診が遅れがちです。もし耳の聞こえの悪さを自覚した場合には、速やかに受診するようにしましょう。


著者:金子 綾香
保健師
医療法人社団 平成医会


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