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ストレスチェック制度の実施体制

  • ストレスチェック
ストレスチェックを実施するにあたっては、法令に従って実施体制を構築することが必要です。

ストレスチェック実施について

(1)実務担当者の指名

まず事業主は、実施計画の策定、当該事業場の産業医等の実施者又は委託先の外部機関との連絡調整及び実施計画に基づく実施の管理等の実務担当者(ストレスチェック制度担当者)を指名して実施体制を整備します。実務担当者には、衛生管理者又はメンタルヘルス指針に規定する事業場内メンタルヘルス推進担当者の他、ストレスチェック結果等の個人情報を取り扱わないことから、労働者の解雇等に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者を指名することもできます。

(2)実施者の選定

事業場または委託先の外部機関の、産業医等の医師、保健師、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士の中から、ストレスチェックの実施者を選定します。
また、平成30年8月9日、労働安全衛生規則の一部を改正する省令が公布・施行され、ストレスチェックの実施者に、必要な研修を修了した歯科医師と公認心理師が加わりました。
一般的には、事業場で選任されている産業医が実施者となることが望ましいでしょう。
なお、ストレスチェックの実施を外部機関に業務委託する場合には、産業医等の事業場の産業保健スタッフが共同実施者として関与し、個人のストレスチェックの結果を把握するなど、外部機関と事業場内産業保健スタッフとの密接な連携が必要です。

(3)実施者の役割

実施者は、ストレスチェックの実施に当たって、当該事業場におけるストレスチェックの調査票の選定並びに当該調査票に基づくストレスの程度の評価方法及び高ストレス者の選定基準の決定について、事業主に対して専門的な見地から意見を述べるとともに、ストレスチェックの結果に基づき、当該労働者が医師による面接指導を受ける必要があるか否かを確認しなければなりません。
なお、調査票の回収、集計もしくは入力または受検者との連絡調整等の実施の事務については、必ずしも実施者が直接行う必要はなく、実施事務従事者に行わせることができます。事業主は、実施の事務が円滑に行われるよう、実施事務従事者の選任等必要な措置を講じます。
ストレスチェック実施者について

(4)実施事務従事者の選定と役割

実施事務者の選定に際し、次の内容に留意する必要があります。

○ 規則第52条の10第2項の規定に基づき、ストレスチェックを受ける労働者について解雇、昇進又は異動等に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない。

○ 事業主が、労働者の解雇、昇進又は異動等の人事を担当する職員(当該労働者の解雇、昇進又は異動等に直接の権限を持つ監督的地位にある者を除く)をストレスチェックの実施の事務に従事させる場合には、次に掲げる事項を、当該実施事務従事者に周知させなければならない。

① ストレスチェックの実施事務従事者には法第104条の規定に基づき労働者の秘密の保持義務が課されること。
② ストレスチェックの実施の事務は実施者の指示により行うものであり、実施の事務に関与していない所属部署の上司等の指揮命令を受けてストレスチェックの実施の事務に従事することによって知り得た労働者の秘密を漏らしてはならないこと。

○ 人事に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者が従事することができない事務は、ストレスチェックの実施に直接従事することと、労働者の健康情報を取扱う事務であり、従事することができない事務と、従事することができる事務を整理すると以下のようになります。

ストレスチェックの「実施の事務」

労働者の健康情報を取扱う事務をいい、例えば、以下の事務が含まれます。

① 労働者が記入した調査票の回収(※)、内容の確認、データ入力、評価点数の算出等のストレスチェック結果を出力するまでの労働者の健康情報を取扱う事務。
② ストレスチェック結果の封入等のストレスチェック結果を出力した後の労働者に結果を通知するまでの労働者の健康情報を取扱う事務。
③ ストレスチェック結果の労働者への通知(※)の事務。
④ 面接指導を受ける必要があると実施者が認めた者に対する面接指導の申出勧奨。
⑤ ストレスチェック結果の集団ごとの集計に係る労働者の健康情報を取扱う事務。
(※)封筒に封入されている等、内容を把握できない状態になっているものを回収又は通知する事務を除く。

その他の事務

労働者の健康情報を取扱わない事務をいい、例えば、以下の事務が含まれます。

① 事業場におけるストレスチェックの実施計画の策定。
② ストレスチェックの実施日時や実施場所等に関する実施者との連絡調整。
③ ストレスチェックの実施を外部機関に委託する場合の外部機関との契約等に関する連絡調整。
④ ストレスチェックの実施計画や実施日時等に関する労働者への通知。
⑤ 調査票の配布。
⑥ ストレスチェックを受けていない労働者に対する受検の勧奨。

ストレスチェックの実施体制が整っていないと、後でトラブルや混乱をきたしてしまう場合もあるので、衛生委員会で事前によく審議を行い、役割を明確にして実施しましょう。


著者:長谷川 大輔
精神科専門医
医療法人社団 平成医会
産業医統括責任者


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