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ストレスチェックの実施頻度と実施時期

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2015年12月から実施が義務化されたストレスチェックの実施頻度や実施時期などについて、データも踏まえながらご紹介します。

ストレスチェック:実施頻度と実施時期

ストレスチェックの実施頻度

事業者は、1年以内ごとに1回、ストレスチェックを実施することが義務付けられています。つまり最低でも1年間に1回は、必ずストレスチェックを実施することが必要です。
衛生委員会等での調査審議により、労使で合意すれば、1年以内に複数回実施することも可能です。1年以内に複数回実施した場合についても、労働基準監督署への報告については、年に1度の報告で問題ありません。
また、やむを得ず部署ごとに実施時期を分けるケースもあると思います。その場合は、実施の都度、複数回労働基準監督署へ報告する必要はなく、1年分をまとめて会社全体の実施結果について報告をすれば問題ありません。尚、報告書の「検査実施年月」の欄には、報告日に最も近い検査実施年月を記載しましょう。

1年以内ごとに1回のカウントの仕方

1年以内ごとに1回ストレスチェックの実施が義務付けられているのは、常時50人以上の労働者を使用する事業場です。では、1年以内というのは、具体的にはいつからカウントすればよいのでしょうか。
ストレスチェックの実施は、対象事業場となったその日から制度が適用され「1年以内ごとに1回」の義務を負うことになります。つまり、2019年4月1日に、常時使用する労働者の数が50人以上となった場合、実施期限は2020年3月31日となります。
ストレスチェックを実施するには、ある程度の準備をする時間が必要です。常時使用する労働者が50人に近くなりそうであれば、予め余裕をもってストレスチェックの実施を検討し、準備を進めておくと良いでしょう。

ストレスチェックの実施時期

ストレスチェックは、その実施時期によって少なからず結果に影響を与えます。
一般的に、閑散期よりも繁忙期に実施することで、ストレスが高まることが考えられます。
労働者への負担を少なくし受検率を上げるためにも、できるだけ、決算期や人事異動の多い時期、繁忙期などは避けて実施することをお勧めします。
だだし、衛生委員会等で審議を重ね、自社にとって職場のストレスが高いと考えられる時期に実施することが効果的であると判断された場合は、あえて繁忙期等に実施するのも良いでしょう。
実施時期がずれると、結果にばらつきが生じ、適切な経年比較が難しくなることから、毎年できるだけ同じ時期に実施することが重要です。実施時期についても、よく衛生委員会等での調査審議を行い、労使で合意を取りましょう。

補足として、2018年度弊会でストレスチェックを実施したデータによると、4-6月が7%、7-9月が44%、10-12月が43%、1-3月が6%という割合でした。中でも10月前後に、実施する割合が高くなる傾向が見られました。
これは、2015年12月からストレスチェックが義務化となり、対象となる事業場においては、実施初年度は、2015年12月1日~2016年11月30日までに1回以上実施する必要があったため、10月前後に駆け込みで実施する企業が多かったことが要因として考えらます。

ストレスチェック:一般定期健診とストレスチェックの同時実施

一般定期健診とストレスチェックの同時実施

事業場によっては、ストレスチェックを一般定期健康診断と同時に実施する場合もあると思います。特に人手が足りず、専門の産業保健スタッフがいない事業場については、健康診断とストレスチェックを同時に実施して、効率化を図るケースも見られます。
一般定期健康診断は、労働者に受けなければならない義務がありますが、ストレスチェックには、労働者に検査を受ける義務がありません。また、一般定期健康診断の法定項目の診断結果は、会社に帰属する情報であり、本人の同意の有無に関わらず、事業者が知ることができますが、ストレスチェックの検査結果は労働者本人に通知され、本人の同意なく事業者には通知することはできません。
一般定期健康診断とストレスチェックを同時に実施する場合は、上記の違いに十分留意することが必要です。

具体的には、受検者がストレスチェックの調査票と一般定期健康診断の問診票のそれぞれの目的や取扱いの違いを認識できるように、下記のような点に注意しましょう。

ストレスチェックの調査票と一般定期健康診断の問診票を別葉にする
記入後、ストレスチェックに係る部分と一般定期健康診断に係る部分を切り離す
ICTを用いる場合は、一連の設問であっても、ストレスチェックに係る部分と一般定期健康診断に係る部分の区別を明らかにする

ストレスチェックは集団分析を実施することが望ましいことから、少なくとも集計・分析の単位となる集団については同時期にストレスチェックを行うことが望まれます。
このため、誕生月に実施する場合や、複数の健診機関に委託して実施している場合など、定期健康診断を一斉実施としていない事業場では、時期を合わせられるよう検討が必要でしょう。

いずれもストレスチェックの実施においては、衛生委員会等で労使がしっかりと話し合い、調査審議を深めた上で行うことが大切です。


著者:長谷川 大輔
精神科専門医
医療法人社団 平成医会
産業医統括責任者


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