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高ストレス者の選定方法について~基礎編~

  • ストレスチェック
ストレスチェック制度では「自覚症状が高い方や周囲のサポートの状況が悪い方」などを高ストレス者として判定します。では、この「高ストレス者」は、どのような基準で選定されるのでしょうか。今回は、高ストレス者の選定方法の基礎について、解説します。

メンタルヘルスコラム:高ストレス者の選定方法について~基礎編~

今回は、ストレスチェックの結果をどのように評価して高ストレス者を選定するか、その方法についてお伝えします。

1.高ストレス者とは?

ストレスチェック制度では「自覚症状が高い者や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い者」を高ストレス者として選びます。

受検に使用することが望ましいとされる職業性ストレス簡易調査票は、全57項目(簡易版は23項目)からなり、各項目は内容に応じて下記の3つの領域に大別されます。

《ストレスチェックの3領域》
A.仕事のストレス要因(職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目)
B.心身のストレス反応(心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目)
C.周囲のサポート(職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目)

2.高ストレス者の選定方法

高ストレス者の選定にあたっては、それぞれの領域における評価点数を考慮します。
第一に、心身の自覚症状があり対応が必要な労働者が含まれている可能性の高い、「心身のストレス反応」の評価点数が高い者を選ぶことです。自覚症状として認識できるほどの心身の反応が現れている人は、長期もしくは強度のストレスに晒されている可能性が高いためです。
しかし、「心身のストレス反応」の評価点数の合計が高い人だけを選ぶと、自覚症状としてはそれほど現れていないけれども、仕事の量が非常に多い人や、周囲のサポートが全くないと感じている人など、不調のリスクがある者を見逃してしまう可能性があります。
そのため、第二に「心身のストレス反応」の評価点数の合計が一定以上の者であって、かつ、「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」の評価点数の合計が著しく高い者についても、高ストレス者として選定します。

《高ストレス者を選定する方法》
「心身のストレス反応」の評価点数が高い者
「心身のストレス反応」の評価点数の合計が一定以上の者であって、
かつ、「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」の評価点数の合計が著しく高い者

メンタルヘルスコラム:高ストレス者の具体的な算出方法

3.高ストレス者の具体的な算出方法

更に、高ストレス者の選定の具体的な方法は、以下の二つがあります。

回答点の合計を用いた方法
素点換算表を用いた方法

ⅰの回答点の合計を用いた方法では、各領域の回答の点数を単純に合計して評価を行い、ストレスが高いほど点数が高くなります。
ⅱの素点換算表を用いた方法では、全ての回答の点数を出した後、ストレスチェックの3領域のA~Cに記載した尺度ごとに再度点数に換算し、素点換算表に当てはめて評価します。この方法では、ストレスが高いほど、点数が低くなります。
(更に詳しい高ストレス者の算出方法は、次回のコラムに掲載します。)

どちらの基準を使うかは自由ですが、個人プロフィールとの関連が分かり易く、精度が高いことから、ⅱ素点換算表を用いた方法が推奨されています。特別な理由がなければ、こちらの方法を選ぶのが良いでしょう。

なお、マニュアルでは、高ストレス者に該当する者の割合を10%程度とする評価基準が示されていますが、各事業場の状況により、衛生委員会での協議の上、高ストレス者に該当する者の割合の基準を変更することができます。

ストレスチェックを通じて多くの受検者に心身の健康を試みる機会を持ってもらいたい場合は、ゆるやかな基準を設定して高ストレス者に該当する人数を多くするのも一つの方法です。ただ、実施ごとに基準を変えると、高ストレス者の割合等の経年変化がわかりにくくなる点には留意してください。
平成医会が提供するストレスチェックでは、閾値によってMiddle, High, Lowの3つのレベルに変更することも可能です。

4.補足的面談の実施という方法も

高ストレス者の選定方法は、上記の方法だけではありません。
マニュアルでは「医師、保健師、看護師若しくは精神保健福祉士又は産業カウンセラー若しくは臨床心理士等の心理職が労働者に面談を行いその結果を参考として選定する方法も考えられる」とあります。
つまり、実施者からの指名および指示のもとに、カウンセラーらが補足的に面談を行い、評価点数に加え、面談結果も参考として選定する方法です。

この方法では、睡眠・食欲の状況や、ストレッサーの具体的な内容、また職場外でのストレッサー等の情報を得た上で、医師面接の対象者を選びます。
普段からその事業所に関わりのある者が補足面談を行えれば良いですが、難しい場合はできる範囲で事業所の風土や状況、規程等の労働者の情報を共有しておくとよいでしょう。
この方法を取ることで、労働者の主観による回答のみならず、面接時の様子などの客観的な情報も得ることができ、高ストレス者選定の妥当性が上がると考えられます。補足面談からカウンセラーへの継続的な相談に繋がる、面接担当医の負担軽減になるなどの利点もあります。

高ストレス者の選定に関するより詳しい情報は、厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアルの解説」をご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150803-1.pdf

このようにして、医師による面接指導が必要と評価された労働者を、次なる面接指導につなぎ、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止に取り組みます。


著者:長谷川 大輔
精神科専門医
医療法人社団 平成医会 
産業医統括責任者


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