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高ストレス者が申し出る医師面接指導とは?

  • ストレスチェック
ストレスチェックを受け、もし高ストレス者と判定された場合どうしたら良いのでしょうか?高ストレス者が安心して医師による面接指導を受けやすいように、ストレスチェックの実務担当者や実施事務従事者が行える工夫について解説します。

ストレスチェック:高ストレス者が申し出る医師面接指導とは?

ストレスチェックの結果が届いたら、よく内容を確認し、心身の健康状態を振り返ってみましょう。高ストレス者と判定された場合は、医師面接指導を受けることができます。

ストレスチェックの結果を受け取ったら?

ストレスチェックの受検後、まもなく受検者全員に対して結果が通知されます。
ストレスチェックの結果は、心の健康状態を測るひとつの指標です。手元に結果が届いたら、すみやかに内容を確認し、ご自身の今後の健康管理に活かしましょう。毎年受検をしている場合は、ぜひ以前の結果と比較してみてください。結果を見て気になることがあれば、実施者や実施事務従事者、然るべき相談しやすい相手に相談しましょう。

労働者の個別の同意がない限り、個人のストレスチェックの結果が事業者に通知されることはありません。また、ストレスチェックの結果を知り得た事業者が、第三者に情報を漏らすことも法律で禁じられています。
よく従業員の方から、”会社に結果が知られるから、ストレスチェックを受検したくない”というお声をお聞きしますが、ご本人の同意がない限り会社は結果を知り得ませんので、従業員の皆様は安心して受検してください。

高ストレス者と判定されたら?

厚生労働省のストレスチェック制度実施マニュアルで公表されている高ストレス者の判定基準では、ストレスチェックを受けた労働者の10%程度が高ストレス者となるように設計されています。
2018年度に平成医会が実施したストレスチェックでは、全体で高ストレス者の割合は15%でした。2016年度および2017年度も同様の傾向でした。企業により割合は異なりますが、一定の割合の労働者が高ストレス者と判定されることが一般的です。
高ストレス者と判定された場合は、医師による面接指導が受けられます。できるだけすみやかに、医師による面接指導の受診を申し出ましょう。
もし、心身の不調が著しく面接まで待つことが難しいと感じた場合は、ご自身の健康と安全のために、速やかに最寄りの医療機関に受診されることをお勧めします。

ストレスチェック:高ストレス者へ面接申し出の勧奨を行うポイン

積極的に医師面接指導を申し出ましょう

面接指導を申し出しない人の中には、面接指導を受けたら自分の人事評価が下がるのではないかと思ったり、医師との面接は敷居が高いと感じたりするという声もよくお聞きします。

面接指導を申し出たことに対して不利益な取り扱いをすることは法律上禁止されています。
また面接指導では、医師の目線からご本人の健康状態を確認し助言するとともに、仕事のストレス要因が考えられる場合には、働きやすい就業環境を整えられるよう、ご本人の同意を得た上で事業者に意見を伝えます。
ご本人の不利益に繋がることのないよう最大限の配慮がされますので、もし会社との情報共有に不安を感じる場合は、面接指導の際に医師に伝えましょう。

また事業者は、そのような労働者の不安を減らし、面接指導の申し出がしやすい環境を整えること大切です。

面接指導を受けるかどうかは、あくまでも高ストレス者となった労働者本人の選択ですが、企業としては、できるだけ労働者に面接指導を受けてもらえるよう配慮が必要です。

高ストレス者へ面接申し出の勧奨を行うポイント

ストレスチェックの結果、面接指導対象者となっても全ての人が申出を行うとは限りません。
面接指導を申し出すると、”事業者へ自分が高ストレス者であることを開示することに同意した”とみなされます。
「職場に高ストレス状態であることを知らせなければいけない」等の理由から、労働者が申出を躊躇することも予測されます。もちろん、面接指導を受けるかどうかは労働者個人に委ねられるものであり会社側が強要できるものではありません。しかし、一人でも多くの労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐためにも、実施者や実施事務従事者による申出の勧奨を行うことが望ましいと言えます。

ストレスチェックの実施者や実務担当者、実施事務従事者は、面接指導対象者が安心して申し出できるよう、下記のような工夫をすると良いでしょう。

・面接指導の流れと不利益な取り扱い防止の周知
ストレスチェックの実施にあたり、面接指導の対象になった場合の流れについて、労働者によく説明を行いましょう。その際に、面接指導の申し出によって不利益な取り扱いをすることはないことを周知しましょう。

・手続きの簡素化と秘匿
面接の申し出はできるだけ簡単な手続きで行えるよう工夫し、申し込みの手続きは周囲の人に知られることなく完了できるよう、注意しましょう。

・メンタルヘルス教育
日頃からメンタルヘルスケアについて正しい知識を持つことが、面接指導の申し出の割合を高め、周囲の理解を得ることにも役立ちます。

面接指導の申し出という正式な手続き以外でも、日常的な活動の中での産業医による面談の実施や、気軽に保健師、看護師、精神保健福祉士や産業カウンセラー、臨床心理士等の心理職等に相談できる窓口を用意するなど、高ストレス者が放置されないように取り組むことが大切です。

事業者は、ストレスチェックの実施前に衛生委員会等で調査・審議を重ね、面接指導の対象者が安心して申し出を行えるよう、十分に周知を行いましょう。


著者:長谷川 大輔
精神科専門医
医療法人社団 平成医会
産業医統括責任者


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