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ストレスチェックの調査票について

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ストレスチェックの具体的な実施方法には、ストレスチェックの実施媒体を決める必要があります。どのようなポイントを考慮したらいいのでしょうか。

ストレスチェック:調査票について

ストレスチェックの実施体制や実施時期を決めたら、いよいよストレスチェックの実施です。今回はストレスチェックの具体的な実施方法について解説します。

ストレスチェックの実施媒体を決める

まずは、対象となる従業員にどのような方法でストレスチェックを受検してもらうか検討しましょう。ストレスチェックの実施媒体は、ICTを用いたwebでの受検または紙調査票の2通りの方法があります。
2018年度に弊会が実施したストレスチェックの結果では、web受検が88%、紙媒体が12%という割合でした。ストレスチェックが義務化となった初年度の2016年度から比較しても、web受検を選択する企業の割合は、年々増加しています。

ICTを利用する場合は、パソコンだけでなくスマホやタブレットでも受検が出来る仕様のものが便利です。結果のフィードバック及び高ストレス者面接指導の申出の受付まで完結できるので、比較的短時間かつ容易に実施が可能です。
一方で、紙で受検する場合は、調査票の紛失や記載の不備などにより、実施および結果の処理に時間と手間がかかりますが、ICTを使うことが難しい人や、事業所に通信環境がない場合には適した方法と言えます。
それぞれの事業所の物理的な環境や風土などを考慮して、対象となる従業員が回答しやすい方法を検討しましょう。

・ICTを利用して実施する場合の留意事項
ここで、それぞれの受検媒体を用いてストレスチェックを実施する場合の留意事項を、更に詳しく解説しましょう。
インターネットまたは社内のイントラネットなどICTを利用してストレスチェックを実施する場合は、以下の3つの要件が全て満たされている必要があります。

①事業主及び実施者において、個人情報の保護や改ざんの防止(セキュリティの確保)のための仕組みが整っており、その仕組みに基づいて実施者又はその他の実施事務従事者による個人の検査結果の保存が適切になされていること。
②本人以外に個人のストレスチェック結果を閲覧することのできる者の制限がなされていること。(衛生委員会で定めた実施者や共同実施者、実施事務従事者以外は閲覧できないようにされている)
③実施者の役割(調査票の選定、評価基準の設定、個人の結果の評価等)が果たされること。

ストレスチェックを業者に委託する場合にも、提供されるシステムがこれらの要件を満たして運用されているか、しっかり見極めて選定しましょう。
ICTを活用した場合の情報管理については、事業主が留意すべき事項として、健康診断結果と同様に「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」( 第4.2版(平成25年10月)を参照してください。なお、弊会が提供するストレスチェックは上記に準拠して管理しておりますので、ご安心ください。

・紙を配布して記入してもらう場合の留意事項

調査票の用紙を配布する場合、配布は誰が行っても差し支えありませんが、回収の際は、記入の終わった調査票が周囲の者の目に触れないよう、封筒に入れてもらうなどの配慮が必要です。
回収は、下記の2つの方法で実施するケースがよく見られます。

(1)記入が終わった人から順に実施事務従事者へ提出
(2)所属部署等で取りまとめ、日にちを決めて回収

それぞれのメリット・デメリットを考慮して、それぞれの事業所に合った方法を検討しましょう。

ストレスチェック:調査票について

ストレスチェックの調査票を決める

次に、ストレスチェックの調査票を決定します。一般的にストレスチェックの項目(以下調査票)は、57問のテストをイメージされる方が多いと思います。
ストレスチェックの調査票は、実施者である医師等の提案や助言、衛生委員会の調査審議を経て、事業者が決定します。
調査票には、次の3領域を必ず含むことが必要とされています。

<必ず含める項目>
仕事のストレス要因:職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
心身のストレス反応:心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
周囲のサポート:職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

厚労省のストレスチェック実施マニュアルでは、調査票として上記の3領域が含まれている、「職業性ストレス簡易調査票」(57項目)を使用することを推奨しています。

「職業性ストレス簡易調査票」(57項目)の特徴として、結果の算定や評価基準が確立されていること、ポジティブな反応も評価できること、職場を問わず約10分で回答できることなどが挙げられます。また、より項目の少ない23項目で行える簡略版も示されています。

これらは、法令で規定されたものではありませんので、各事業場においてこれらの項目を参考としつつ、衛生委員会で審議の上で項目を選定することができます。
しかし、各事業場において、独自の項目を選定する場合には、その項目に一定の科学的な根拠が求められるため、57項目以外の設問を採用する場合には、十分な検証に耐えうる根拠が証明できない場合にはガイドラインに抵触する可能性があります。

一方で、調査票に含めることが不適当とされてる項目もあります。

<含めてはいけない項目>
・性格検査
・適正検査
・希死念慮
・自傷行為の有無 等
その他精神疾患のスクリーニング項目など

含めてはいけない項目が挙げられているのは、ストレスチェックの第一義的な目的が病気のスクリーニングや不調者の発見ではないためです。
こうした項目がない場合にも、目的や方法の周知が不十分であれば受検者は誤解しかねません。いずれにしても、ストレスチェックの目的は、自身の心身の健康管理とセルフケアへの活用であり、不調者の発見ではない旨を実施前に繰り返し周知する必要があるでしょう。


著者:長谷川 大輔
精神科専門医
医療法人社団 平成医会 
産業医統括責任者


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