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労働生産性から考える効率的な働き方

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働き方改革の取り組みの一つとして、2019年4月から中小企業を含むすべての企業に時間外労働の上限規制が導入されました。働き方改革は、働く人それぞれの事情に応じて多様な働き方を選択できる社会を実現し、将来に希望を持ちながら働ける環境づくりを目的としています。 長時間労働は心身の健康に影響を与える可能性があり、特にメンタルヘルスの観点からも重要な課題とされています。そこで今回は、長時間労働の問題と労働生産性の関係、そして時間を効率的に活用する働き方について考えていきます。
長時間労働が問題となっている職場

日本と海外における長時間労働の傾向

日本では少子高齢化の進行に伴い、労働人口の減少が社会的な課題となっています。そのため、企業においてはワーク・ライフ・バランスを重視した働き方への関心が高まっています。
厚生労働省の資料でも、長時間労働と少子化の関連性が指摘されています。国際労働機関(ILO)の調査では、週49時間以上働く「長時間労働者」の割合は、日本が欧米諸国と比較して高い水準にあることが示されています。
また、男性労働者に限定したデータでは、日本の長時間労働の割合はさらに高くなる傾向がみられます。このような状況から、日本では依然として長時間労働の文化が根強く残っていると考えられています。
一方で、フランスや北欧諸国など出生率の回復がみられる国では、仕事と家庭生活の両立を支援する政策が進められています。具体的には、育児休業制度の整備や保育サービスの充実など、働きながら子育てができる環境づくりが重要視されています。
このような取り組みは、労働時間の短縮だけでなく、働く人の生活の質を高め、結果として労働生産性の向上にもつながると考えられています。

時間外労働と労働生産性の関係

人間はAIやロボットではありませんので疲労が蓄積すると集中力は落ち労働生産性がさがります。
経済産業省が発行している「企業の健康経営ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~」では、プレゼンティーイズムと健康関連指標との関係をとりあげています。プレゼンティーイズムとは、出社しているも業務に集中できない状態のことで、例えば風邪などの体調不良時がそれにあたります。そのような身体的な不調よりも、睡眠休養および心理的指標(主観的健康観、生活満足度、仕事満足度、ストレス)が労働生産性の低下に大きく影響しているという結果があきらかになりました。 時間外労働が増え睡眠時間が減ったり、仕事や生活への満足度が落ちることでストレスが増加すると、集中力にも大きく影響し労働生産性がさがってしまうのです。また、疲労が蓄積された状態で働きつづけると身体だけではなくメンタルヘルスにも支障をきたすことがあります。

業務効率化・チームでの改善

長時間労働を減らすための工夫

長時間労働を減らす方策をたてるには、まず原因の分析が必要です。
長時間労働になっている原因が、従業員一人あたりの業務量の問題なのか、業務量は適切だが従業員が仕事に集中できていない個人要因もしくは職場環境があるのかという視点で考えます。そして、時間外労働が多くなっている従業員においては、どの業務にどれだけの時間がかかっているかを洗いだすことが重要です。そのなかで簡素化できるものはないのか、もしくは仕事のやり方に問題はないかを根気よく見直します。時間外労働が当たり前になっている会社や従業員は変化をおそれ着手できないことがあります。しかし、その先にある心身の健康やワークライフバランスの充実は会社の成長にとって欠かせないものとなります。
ここでいくつか長時間労働を減らすための工夫をご紹介します。

〇細かい無駄を排除 会社や部門の業務効率化と大きく考えすぎず、まずは自分の周りから小さなことから改革するのもよいかもしれません。例えば、細かい作業の集約化です。集中を妨げがちなのがメールやチャットなどの細かい仕事です。緊急の場合以外は都度対応するのではなく、決まった時間にまとめて対応することで、集中したい仕事を効率よく行うことができます。 また、業務連絡や問い合わせについての回答など定型文で済むようなものはテンプレートを作成してストックしておくことで時間の短縮にもつながります。

〇業務時間の最適化 仕事内容について優先順位をチームや部署単位で持ちより、すり合わせると良いでしょう。同じ業務であっても人により優先度やそこに充てる時間が違っていたりします。その際は、やり方について話し合うとより効率的な方法を発見できるかもしれません。また重要度は低いものに時間をかけすぎているものがあればそれも見直してみるとよいでしょう。

仕事の効率化に限らず業務改革の取り組みについては、成し遂げるための強い意志と根気が必要です。
時間外労働をしてはいけないということではなく、それが長時間になりすぎると万全の状態に比べて顕著に生産性が落ちるということを知っておいてください。残業時間ありきの労働になってしまうと、終業時間の概念がなくなります。これを機会に皆さんも自身の働き方や時間の使い方について考えてみてはいかがでしょうか。仕事もプライベートも大切にすることで、仕事に対する余裕もでき周り対してもよい影響を与えることでしょう。


著者:伊藤 直
精神科専門医
医療法人社団 平成医会「平成かぐらクリニック」院長
一般社団法人 健康職場推進機構 理事長


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