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「泣く」ことで得られる心身のメリット

  • メンタルヘルス
最近、あなたはいつ涙を流されましたか。泣くことは、リラックス効果など心身共にメリットが多くあります。今回は、どのような心理的効果があるのか、具体的に解説します。

メンタルヘルスコラム:「泣く」ことで得られる心身のメリット

泣いて気持ちがスッキリとしたことや思いっきり泣いた後に深い眠りにつけたこと、皆さんはそんな経験をされたことはないでしょうか。抑え込まれていた感情は泣く事で発散され、その後は落ち着いて、冷静に物事を考えることができるものです。「泣く」ということにネガティブなイメージをもっておられる方も多いかと思いますが、今回は、泣くことがどのような心理的効果があるのか様々な視点から解説します。

泣くことは、心身共にメリットが多くあります。嬉しいときも悲しいときも、気持ちの高揚を落ち着けようとする体の自然な反応が、泣くということなのです。
涙の役割は、大きく分けて3種類あります。目の機能を保護する「基礎分泌の涙」、外部からの刺激による「反射の涙」、感情が高ぶることによる「情動の涙」です。

「泣く」ことのメリット

1. 心のデトックス効果

慢性的なストレスは、心臓発作のリスクを高めることや脳に損傷を与え、消化器官の潰瘍、緊張性頭痛、偏頭痛などの疾病に繋がるといわれています。涙には、コルチゾールと呼ばれるストレス成分を低下させる作用があるといいます。コルチゾールは、別名ストレスホルモンと呼ばれており、心身の健康に悪影響を及ぼします。そのため、涙には、ストレスホルモンを体外に排出するデトックス効果があるといえます。泣いたあとになぜか気持ちがスッキリしたと感じるのはこのためかもしれません。

2.リラックスした状態になる

リラックスした状態とは、副交感神経が優位な状態にあることを指します。副交感神経は「休息の神経」とも呼ばれ、活性化すると血管を広げ脳の血流がよくなるため、身体がリラックスした状態になります。副交感神経が働いて涙を流すことで、気持ちが落ち着きます。つまり、泣くことでリラックス効果があるのです。また、眠ること以外で副交感神経へと切り替える唯一の方法が、泣くことだともいわているため、睡眠と同等のリラックス作用があるともいわれています。

3. マンガンの低減

体内のマンガンのレベルが上昇すると、人は攻撃性や怒りっぽさ、不安と関連して一定量を超えて蓄積するとうつ病になるリスクが増える物質であるということもいわれています。泣くことで、この余計なマンガンを体の外へ排出し減らすことができるのです。

4.安眠効果

思いっきり泣いた後に、疲労感を感じていつもより寝つきが良いと感じられたり、熟睡感をより感じたりした経験をされた方もいるのではないでしょうか。そのうえ、その疲労感はスッキリとしていて、心地良い疲労感と感じられる場合が多くあります。また、精神の安定や安心感や平常心、頭の回転をよくして直観力を上げるなど、脳を活発に働かせる鍵となる脳内物質であるセロトニンも増えるということが分かっています。

5.痛みの緩和

涙のなかには、苦痛を和らげるエンドルフィンというホルモンも含まれています。エンドルフィンの鎮静作用は、モルヒネより大きいともいわれており、痛いときに涙を流すということは、人体の仕組みとしても理にかなっているものであるといえるでしょう。

6.自分を解放できる

カウンセリングをするなかでも、涙を流すということに、大きな意味があるといわれています。
涙を流すことで、自分の本当の気持ちに気付き、自分に対する理解を深めることや少しずつ自分を解放できるようになる人もいます。自分の気持ちを抑え込みがちな人は、感情を表に出してみる機会を作ってみることや我慢ができない時には、泣いて自分を解放させてあげることも重要です。弊会でも、専門職によるカウンセリングを実施しております。

メンタルヘルスコラム:「泣く」ことで心を元気に

「泣く」ことで心を元気に

これまで解説した泣くことで得られる効果を、皆さんの日常にも取り入れてみると、気持ちが冷静になったり、物事が整理されて考え方や見え方も違ってくるかもしれません。
現代社会においては、感情を抑えないといけない場面や自分の気持ちを素直に表現できる状況ではなかったりすることが多く、ストレスを抱え込んでしまいやすい傾向にあります。自分も相手も大切にする自己表現方法としてアサーションというスキルもありますが、時には自分の気持ちに素直に向き合ってみることも大切です。
また、前述したように泣くことはストレスを解消するためにも有効です。ランニングやカラオケなどと同じように、例えば、映画やドラマを観て感動の涙を流すこともリフレッシュ方法として、取り入れてみてはいかがでしょうか。自分自身の気持ちに蓋をしてしまわないよう、頼れる人にSOSを出すことも重要です。今回の内容をきっかけに、最近いつ涙を流したかを思い出して、自分の心の声を聞いてみてください。


著者:伊藤 直
精神科専門医
医療法人社団 平成医会「平成かぐらクリニック」院長
一般社団法人 健康職場推進機構 理事長


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