先延ばしする人の特徴とその改善方法
2019.10.21
- メンタルヘルス
皆さまは、やらなくてはいけないと分かっているのに、ついつい先延ばしにしてしまっていることはありませんか。先延ばししている背景に、自身のやる気だけが影響しているとは限りません。先延ばしが、嫌なことから逃げているだけではないということが、最近の研究で分かってきました。
今回は、先延ばし癖の真意とその改善策について解説いたします。自身の行動を振り返って、仕事やプライベートで是非実践してみてください。
「先延ばし癖」と「衝動性」
先延ばし癖とは、行動を遅らせることが常態化していることです。
先延ばし癖のある人は、人間関係でトラブルが起きてしまったり、仕事での評価が下がってしまったりと日常生活で損をしてしまう可能性があります。そして、自分自身でもやるべき事が積もっていくと、頭の中では不安をいつも抱えているため、心身の健康状態にも良い影響を与えません。
最近の研究では、先延ばし癖は、衝動性と密接な関係があるといわれています。
普段から衝動的に行動する傾向が少ない人は、「恐れ」が行動を始める理由になるのことに対して、衝動的な性質の強い人は、「恐れ」を感じることで思考が停止する傾向にあるのです。
すなわち、衝動性の高い人は、「恐れ」自体に対処することが下手で、「恐れ」に対する不安が衝動的に襲ってきます。そして、「恐れ」に向き合うことができずに、何か他のことを行ったり、逃避することで嫌な気持ちを取り去ろうとするメカニズムになるのです。失敗を恐れて先延ばしにするのではなく、そういった恐怖心が衝動的に思考を停止させる様に、影響を及ぼしているのです。
物事を先延ばしがちな人の特徴
先延ばし癖を持っている人は、自分が下した判断や行動が、後々の自分にどのような影響を及ぼすか理解する能力が弱いと言われています。身近な自分の状況に対して、見えづらくなっている状態の心理の根底にあるのは、ストレスから守ろうとする防衛機制なのです。
先延ばし癖がある人の特徴として、
①完璧主義の人、②恐怖心が強い人、③楽観的
に構える人の大きく分けて3つに分類できます。
完璧主義な考え方も、タスクを完璧にこなそうとするあまり、下準備に時間がかかることで本題に取り掛かれず、先延ばし行動になってしまう可能性があります。
また、やるべきことを先延ばしするのことで、罪悪感を少なくするための行動として、ジムに行くなどの生産的な活動を行って感情の埋め合わせを行うことも多いようですが、そのような行動も一時的な解決でしかありません。
恐怖心が強くなる人の例として、プライベートな場所ではキビキビと動く人でも、職場では物事を先延ばしにして、「だらしがない」「仕事ができない」と言われてしまう人がいます。
その理由の一つに、仕事という場所が、その人が評価される場所でもあることが挙げられます。自身の決断が周りに与える影響が大きいほど、恐怖心が強くなり、苦手なことから避けてしまうようになるのです。
恐怖心があることや完璧主義以外にも、物事を楽観的に捉えることが、物事を先延ばしにする事に繋がる場合もあります。それは、大きな失敗をした経験があまりないため、先延ばしにしながらも、結果的には自分に失敗が返ってこなかったことが多い傾向にあるようです。
楽観的に物事を捉えられることは悪いことばかりではありません。本人のストレス耐性は高まるのですが、あまりに行き過ぎると、仕事など社会生活になじめないこともありますので、注意が必要です。
「先延ばし癖」の対処方法
先延ばし癖を治していくのに大切なのは、強い恐怖や不安といった衝動的な感情を抱いていることを自覚していくことです。その感情が視野を狭くしてしまい、やるべきことを先延ばしにしてしまいます。
自分自身を理解することは、難しいことですが、短所も視点を変えることで長所にも変わります。詳しくは、リフレーミングについて紹介しているコラムをご覧ください。
または、自分ルールを作って、先延ばし癖に対処していきましょう。これまでの意識を少しだけ変えることで、先延ばし癖は解消されるのです。
例えば、気が乗らない先延ばしにしてしまう仕事をまずは10分やってみます。そこで、気が乗ればそのまま続けれて行えばいいですし、気が乗らなかったものでも、脳はしっかりとやったことを覚えており、その後、「ここまでやったのだから、もったいない。完成させてしまおう」という考え方にシフトさせるのです。
さらに、「to doリスト」を使用することで、終わったことを視覚的に捉えることができ、楽しみながら達成感を味わっていくことも、先延ばし癖には効果的です。
このように、人間の特性をうまく利用することや、先延ばしにしてしまいそうなことを最初にやるという自分ルールを作ることで、不安から思考を停止させる衝動性をコントロールしていくと良いでしょう。
皆さまも、思い当たる場面や「先延ばし癖」を解消することで、ゆとりが生まれ、より豊かな日々を送る事ができるかもしれません。
著者:塩入 裕亮
精神保健福祉士
医療法人社団 平成医会 「平成かぐらクリニック」 リワーク専任講師
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