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PM理論から考えるリーダーシップ

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私たちは、集団に属して日々生活をしています。集団にはリーダーがいて、そのリーダーの采配によって成果も変わります。代表的なリーダーシップ理論に「PM理論」があります。この理論は、仕事をする上でも重要です。今回は、PM理論について解説していきます。

PM理論とは

社会心理学者の三隅二不二氏がPM理論を提唱しました。三隅氏は日本の集団力学(グループ・ダイナミクス)の先駆者といわれています。一方で集団力学の世界的な先駆者は「社会心理学の父」と呼ばれるアメリカのクルト・レヴィン氏です。三隅氏はレヴィン氏の「アイオワ研究」を日本で実施しています。

PM理論とは、リーダーが取るべき行動に着目した行動理論の1つです。リーダーに必要な要素をP機能:目標達成機能(Performance)とM機能:集団維持機能(Maintenance)の2つに分類して、その機能の強さによって4つにパターン分類したものです。

P機能とM機能の意味

P機能:目標達成機能(Performance)

P機能とは集団の目標達成や生産性を向上するなど成果を上げるために発揮するリーダーシップのことです。リーダーとしていかに目標にコミットできるかを示します。
具体例として、目標設定や計画立案、メンバーへの指示や指導が挙げられます。
三隅氏はP機能を、目標達成のための厳しく力強いリーダーシップと表現しました。

M機能:集団維持機能(Maintenance)

M機能とはメンバーと信頼関係を築きながら人間関係を良好に保ち、チームワークを維持するなど、集団に調和をもたらすための機能です。
具体例として、メンバーを褒めたり労ったりする声かけやメンバーの話を聞くこと、メンバー間のトラブル解決に関与することが挙げられます。メンバーへのメンタルケアを行うこともこの役割の一つです。

PM理論においてリーダーに求められるのは、目標達成機能と集団維持機能の両方になります。すなわち、どちらが欠けても理想的なリーダーにはなれないということです。

PM理論における4つの分類

PM理論は4つにパターン分類することができます。その内訳は、リーダーのP機能の強弱で2パターン、M機能の強弱の2パターンを組み合わせて合計4パターンです。機能が強い場合を大文字のアルファベットで表し、機能が弱い場合を小文字で表しており、以下のPM型・Pm型・pM型・pm型の4つに分類されます。

① PM型

目標達成行動と集団維持行動の両方が優れ、理想的なリーダーシップ像とされています。目標が明確で成果をあげる力もあり、なおかつM機能の特徴である、チームワークを重んじて集団をまとめる力もあるのがこのタイプです。

② Pm型

目標達成行動に優れるが、集団維持行動が劣っているリーダー像です。このタイプは、目標を達成することには長けているのですが、配慮に欠けるためメンバーのモチベーションが向上せず、長期的にみると全体のパフォーマンスが低下していきます。一匹狼タイプとも言われ、実力はあるので結果は残すのですが、人がついてこないという典型です。

③ pM型

目標達成行動には劣るが、集団維持行動には優れているリーダー像です。部下とも友人のような人間関係を築くことで職場の雰囲気は良いが、成果があまりでないという傾向にあります。メンバーが自律的に行動できればよいのですが、そうでない場合には集団としての成果をあげることができず、仲良しグループになる可能性があります。目標達成をするために、時には厳しいことを言う必要があるといえます。

④ pm型

目標達成行動と集団維持行動の両方が劣るタイプです。集団としての目標達成もできず、メンバーからの人望も薄いため集団をまとめるのが難しくリーダーには向いていないタイプともいえます。

P機能とM機能をバランスよく向上させる方法

PM理論はP機能とM機能のバランスが重要です。
P機能だけが強いと短期的に成果が上げられるかもしれませんが、チームをまとめられないので長期的にはパフォーマンスが低下する可能性があります。一方でM機能が強いと職場の雰囲気が良いので組織は維持できますが、成果があがりません。

P機能を向上させる方法

P機能を高めるためには、リーダーが会社の目指すべき方向性を正しく理解した上で、自分のチームが何をやるべきなのか的確に把握することが前提条件です。その中で、メンバーがゴールを常に意識できるよう、くりかえし役割を伝え、達成するためのタスクをかみくだいて伝えることも重要です。リーダーが進捗確認をしっかりと行い、ゴールを明確にイメージしておくことが重要になるといえるでしょう。

M機能を向上させる方法

M機能を向上させるためには、人との付き合い方に焦点をあてます。M機能を高めるためには実際にリーダーになってみる必要があります。その上で部下との接し方の工夫や部下の悩みに寄り添うことや、強みをフィードバックすることで、部下が働きがいを感じれるようサポートにまわることで、組織力は維持・向上されます。具体的には、定期的に面談時間をしっかり確保してメンバーの思いを確認する、キャリアイメージを共有することで、信頼を獲得していくという方法もあります。メンバーの人となりや仕事において大事にしていることを共有する場を設けるなどの取り組みも有効といえます。コロナ禍では難しいかもしれませんが、懇親会を開催するなど、業務と離れた場でコミュニケーションをとることもよいでしょう。

いかがでしたでしょうか。皆さんがリーダーとして力を発揮しないといけない場面で、PM理論は役立ちます。P機能とM機能から自分の立ち位置を認識して、2つのバランスを意識することは、理想的なリーダーに近づくための指標となります。「最近の自分はP機能が足りないのではないか」「M機能に特化しすぎて目標を見失っていないか」とセルフチェックすることで自身をモニタリングする力を養ってみてはいかがでしょうか。リーダーシップに明確な答えやノウハウはありません。今回解説したPM理論が少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。


著者:塩入 裕亮
精神保健福祉士
医療法人社団 平成医会 「平成かぐらクリニック」 リワーク専任講師


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