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肥満と健康

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新型コロナウイルス感染症の流行により、外出が少なくなったり、様々な制限があることで、活動や運動の機会が減っている方もいらっしゃると思います。そこで、最近よく耳にする言葉が、「コロナ太り」です。「太っている」というのは、どのような状態でしょうか?「体重が多い=肥満」と思っていませんか?そもそも、肥満は、身体にどのような影響があるのでしょうか?今回は「肥満と健康」について解説します。

メンタルヘルスコラム:肥満と健康

肥満とはどのような状態か

「肥満」とは、単に体重が多いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態をいいます。近年は、体脂肪率が簡単に測定できる体重計がありますが、一般的には肥満度の判定には、国際的な標準指標であるBMI(Body Mass Index)が用いられています。但し、同じBMI値であっても、どこに脂肪がついているかで健康への影響は異なります。

日本の肥満者はどのくらい

厚生労働省「国民健康・栄養調査結果の概要」によると、20歳以上の人の肥満(BMI≧25以上)の割合は男性32.2%、女性21.9%となっています。肥満者の割合はここ10年間ほぼ横ばいで推移しています。
年代別にみると、男性では50歳代が37.2%と最も高く、次いで40歳代が36.4%となっています。一方、女性は年齢が上がるにつれて肥満者の割合が高くなり、70歳以上で27.7%と最も高くなっています。
やせ(BMI<18.5)の割合は男性 3.7%、女性 11.2%であり、この10年間でみると、男女とも横ばいになっています。20歳代女性のやせの割合は 19.8%であり、高水準で推移しています。

肥満になる理由

近年の肥満に対する考え方として、遺伝的な影響は少なく、多くは生活習慣によるものとされています。つまり、両親が肥満であっても、その人の生活習慣次第で肥満にならないようにすることが出来るということです。
体脂肪は、年齢とともに増加する傾向があります。その理由は、基礎代謝量が減少するためです。
基礎代謝量のうち、もっとも大きな割合を占めるのは筋肉ですが、加齢とともに筋肉は減り、年齢ともに運動習慣を持たない人が増えるため、多くの人は筋肉量が減少します。
基礎代謝量が減少することで、消費エネルギーも減り、それに気づかず、若い頃と同じように食事をしていると、摂取エネルギーの方が多くなっていまい、余った分が体脂肪となって体内に蓄積されることとなります。
若い頃と体重があまり変わらない人でも、実際には筋肉量が落ち、代わりに体脂肪が増え、見かけの体重だけが同じということも少なくありません。

なぜ肥満がいけないのか

肥満と最も密接に関係しているのは、糖尿病や脂質異常症・高血圧症などの生活習慣病です。肥満を放っておくと、これらの生活習慣病を悪化させ、血管を傷つけたり、もろくし、やがて動脈硬化を引き起こします。その結果、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気へと進む原因ともなります。

肥満の予防・治療

肥満の予防・治療には、エネルギー摂取(食事)と消費(活動・運動)のバランスを改善、すなわち摂取エネルギーを減らすことと消費エネルギーを増やすことが第一となります。

但し、何でも減らすことが良いのではなく、必要な栄養素はきちんと摂取し、バランスのとれた食事を摂ることが最も重要です。食事を気にするあまり、エネルギーが低いものばかりを摂っていて、結果的に体調を崩してしまったり、特定の食品がダイエットに良いと聞いて、ある食品の過剰摂取となるケースも見受けられます。

メンタルヘルスコラム:食欲が増すのはストレスが原因

肥満と食生活の国際比較

米を中心とする日本型の食事スタイルは世界的に高く評価されていることはご存じかと思います。米を食べることが2型糖尿病や肥満の対策になるという研究も発表されているのです。米を多く摂取している国の順位は、(1)バングラデシュ(473g/日)、(2)ラオス(443g/日)、(3)カンボジア(438g/日)、(4)ベトナム(398g/日)、(5)インドネシア(361g/日)です。逆に少ない国は、(89)イギリス(19g/日)、(87)米国(19g/日)、(81)スペイン(22g/日)などです。

米の消費量が多い国(平均150g/日/人)では肥満レベルが低く、米の平均摂取量が少ない群(平均14g/日/人)は肥満レベルが高いことが分かっています。米の摂取量を、1人当たり50g/日増やしただけで、肥満リスクを1%減らすことができるとも言われていますが、米を過剰摂取するとメタボリックシンドロームや2型糖尿病の発症リスクが上昇することも指摘されているため、くれぐれも食べ過ぎには注意が必要です。

食欲が増すのはストレスが原因

食べ過ぎてはいけないとわかっていても、つい食べ過ぎてしまうことが多い人は、ホルモンによる影響があるかも知れません。ストレスによって肥満になるのは、自律神経の一つである交感神経が関連しているからです。
人がストレスを感じると、自身の身体を守るためにコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールは胃を活発にさせたり、食欲を増やす働きがあるホルモンの一種になります。また、食欲を抑えるホルモンである「レプチン」という成分を減少させてしまうのです。その結果、食欲が増進し、つい食べることで発散してしまうのです。
また、ストレスを感じると、自律神経の一つである交感神経の動きが優位になります。その状態が続くと、脂肪の分解や燃焼、代謝のサイクルが乱れ、脂肪を溜めやすい身体になってしまいます。
意外にもうつ病の人には肥満が多いというデータがあります。一般的に、うつ病は気分が優れず痩せてしまっているイメージをお持ちの人も多いかと思いますが、実際には、ストレスを晴らすための過食であったり、運動不足のために肥満になってしまうことが多いそうです。

悪循環に陥ることも

肥満になると、身体を動かすのが面倒になりやすくなります。身体を動かさないことで、気分転換の機会が少なくなったり、他者との交流が減ることで、ストレスを発散できなくなり、また食欲が増進し、肥満になり・・・という悪循環に陥ってしまうこともあります。

肥満と聞くと、食べ過ぎ・運動不足などの身体のことを思い浮かべることが多いかと思いますが、実際には、精神的な影響も大きいのです。
規則正しい生活やバランスのとれた食事習慣はもちろんのこと、ストレスを軽減し、リラックスできる環境を作ることも肥満解消には大切です。毎日慌ただしい朝で、朝食を摂っていない方がいらっしゃいましたら、一息ついて、朝食を摂ることを始めてみませんか。


著者:金子 綾香
保健師
医療法人社団 平成医会


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