筋トレがメンタルヘルスに及ぼす影響
2020.12.14
- メンタルヘルス
筋トレをすることで得られるメリット
筋トレをすることで以下のような効果が得られるといわれています。
① 基礎代謝量の向上
基礎代謝とは生命維持(体温調節・呼吸など)のために消費されるエネルギーのことです。
筋トレをして筋肉量が増えると、筋肉はより熱を生み出すことができるようになります。
基礎代謝量が増加することのメリットは、脂肪が燃焼しやすくなるなど太りにくい体質になることです。
② 免疫力の向上
免疫とは細菌やウィルスから体の健康を守るためのシステムです。白血球という血液中の細胞が細菌やウィルスから身体を守ります。筋トレで免疫力があがる理由は、運動により白血球やリンパ球などといった免疫細胞が増加するためです。
筋トレによって免疫力が向上し代謝が良くなることで、骨髄における造血も活性化されます。その結果、異物除去に働く物質であるサイトカインの産生増加も起こります。
③ 血流が良くなる
前述の通り、筋トレをすることで全身へ血流を促すことで血の巡りがよくなり身体が温まります。 肩こりは血行の悪さから老廃物がたまることで生じるため、筋トレをすることで改善することが期待されます。さらに血流がよくなることで冷え性にもよい効果を与えます。
④ 頭の回転や切り替えが早くなる
運動をするとBDNF(脳由来神経栄養因子)が分泌されます。BDNFは、神経細胞の生存・成長・ シナプス の機能亢進などの神経細胞の成長を調節する脳細胞の増加には不可欠なものです。昔は脳細胞の数は変わらないという説が有力でしたが、近年の研究では古い脳細胞は新しい脳細胞と入れ替わることがわかってきました。さらにBDNFは記憶や学習、認知を司る海馬にも高濃度で存在します。
筋トレをすることで分泌されるホルモン
皆さまは運動や筋トレをしたときに、気分が高揚したり心身の苦痛がやわらいだりした経験はありませんか。それは、脳内ホルモンが分泌されることと関係しているかもしれません。
筋トレを行うと、エンドルフィンやドーパミン、セロトニン、テストステロンといった脳内ホルモンが分泌されます。エンドルフィンにはモルヒネの6.5倍程の鎮痛作用があるといいいますし、ドーパミンは快感物質ともよばれ、幸せな瞬間以外にも強い苦痛を感じた場合も大量に分泌され、一種の脳内麻酔として苦痛をやわらげてくれる脳内ホルモンです。セロトニンについてはこれまでのコラムでも取り上げていますので、興味がある方はご覧になってください。
男性ホルモンの代表であるテストステロンも筋トレを行うことで分泌されます。闘争心を高めたり、やる気を増加させたり、気分を高揚させたりと、体のスイッチを入れる作用があります。筋トレをつづけていくうちに少しずつ痛みがやわらいでいくのはテストステロンの作用によるものだといわれています。
また、筋トレを行うことによって体内のキヌレニンの量を抑制することができ、リラックス物質とも言われるトリプトファンが増えることによってうつ病のリスクが軽減されるとスポーツ医学では考えられています。
筋トレとの組み合わせで効果が上がる運動
メンタルを効率よく強化できる方法は筋トレばかりではありません。趣味や日常の中での軽い運動を通してもメンタルを整えることに役立てることはできます。
① ランニングやウォーキング
セロトニンは、心地よいと感じる強度の有酸素運動を長く続けることでもアプローチできる可能性があります。ジョギングやランニングなどの有酸素運動は脳内に新鮮な酸素を供給し、規則的な呼吸によってメンタル面も落ち着ける効果があるとされています。
② ヨガ
ヨガを行うことで精神面へのよい影響や自律神経を整える効果があるといわれています。
自尊感情が高まることや対人不安が少なくなるなど精神面での変化に期待できます。
ヨガと筋トレを組み合わせることによってメンタル強化に効果があることがわかっており、ヨガの要素を取り入れた筋トレのメニューが次々に開発されているようです。
筋トレは継続することでメンタルにも良い影響をあたえてくれるといえそうです。
コロナウィルスの感染拡大を受けて外出することを自粛されている方は、自宅にいてもできる運動を行ってみてはいかがでしょうか。、最近ではYouTubeで自宅でもできる筋トレを紹介されている人やオンラインレッスンを行っている人もいるので、うまく活用してみてはいかがでしょうか。
また、紹介した方法だけでなく、ストレスを根本から改善できるように働きかけることも大切です。人によってストレス源はさまざまかと思いますが、運動、食事、睡眠など基本的な生活習慣を見直してみるとよいかもしれません。少しずつでもメンタルヘルスを良好に保てるよう働きかけてみてください。
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