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ストレス耐性が高い人がもっている3つの要素

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米国の大企業を12年間にわたって調査したところ、厳しい労働環境にさらせれていても、その渦中にあった管理職のストレスや病気になる確率は低いことが分かりました。その結果、高いストレスを受けても病気にかかりづらかった人たちに共通する特徴が明らかになったのです。

メンタルヘルスコラム:ストレス耐性が高い人がもっている3つの要素

ハーディネスについて

大きなストレスにさらされても健康を維持している人がいます。このことに興味を持った心理学者たちは、こうした人々は他の人とはちがう形でストレスをとらえているのだと考えました。そして、共通する3つの要素をみつけました。これらCから始まる3種の傾向が高いと、自分を成長させるために真摯に取り組むことができるため、生活に張り合いがうまれ豊かになり、充実感が得られてストレスを減らすことができるといわれています。ストレスフルな出来事を経験してもそれを肯定的に認知し、自分でコントロールできるものであると考えることができるのです。

① コミットメント(関わり合い) - Commitment

自分の人生や課題、人間関係に深く関与しているという感覚があり、周囲の出来事への関心も高い状態です。日常生活の様々な出来事に自分はかかわっていると感じる傾向がある人といいかえることもできます。否定的な態度をとったり、無力感や空虚感、退屈な思いなどにとらわれたりすることが少ない状態です。

② コントロール - Control

自分の行動が、ものごとの推移や結果に対して良い影響を及ぼすと考えていて、直面している出来事や問題に自分自身がそれを統制していると感じる傾向がある人です。自分が置かれた状況を自分で何とかできるという自信を持っている状態ですので、ネガティブにとらえることを避ける傾向があります。

③ チャレンジ - Challenge

人生における変化やハプニングを脅威としてではなく、挑戦や成長の機会と捉えようとする傾向がある人です。悪い経験からも学ぶことはあり、成長するための重要なファクターであることを理解しています。努力をすることを惜しまずひたむきに行動するため、困難な問題であっても自分が成長していくための試練だとみなせる思考をもっています。

ハーディネスの傾向が高いからといって過信しすぎてはいけません。この特性がある人でも課題や仕事をしている時に本人はストレスと感じていなくても血圧が高くなるといった生理的なストレス反応は示すことが報告されています。

ここでハーディネスと似た意味をもつレジリエンスとの違いを解説します。
レジリエンスとは回復力、復元力、弾力性と訳され、日本では折れない心、しなやかな心といった表現でつかわれることがあります。このレジリエンスとハーディネスは強いストレスに直面しても逃避せずに積極的に対応しようとする心理的特性ですが、その違いはハーディネスが大きな問題に直面しても傷つかない特性ならば、レジリエンスは回復力やしなやかさという意味を持つことから、傷ついても回復できる、傷つきながらも進んでいけるというような特性ということができます。

メンタルヘルスコラム:ストレスに強い人の特徴

ストレスに強い人の特徴

ストレス社会の現代にストレスと無縁に生きていくことは難しいでしょう。そうであればストレス耐性をつけて、多少のことには動じない心の余裕が欲しいものです。ここからはストレスに強い人の特徴をさらに深堀りしていきます。

物事を客観的にとらえることができる

ストレスに強い人は自分の環境や状況、物事の受け止め方や考え方について、客観的にみることができるようです。現状に向き合わず不安やネガティブな思い込みで物事を判断してしまう人がいれば、それはストレスに弱いタイプの人なのかもしれません。落ち着いて物事を客観的にみるように心掛けてみるのはいかがでしょうか。

自分の心の声に耳を傾けることができる

例えば、あなたがミスをして上司に怒られたとします。怒られたことに対しての悔しさや不安などの感情は感じて当然です。大切なのは自分の心の声に気づいてあげているかということです。不安から疑心暗鬼になることもあるでしょうが、自分軸をもって自分を守ることも大切です。

「まあ、いいか」と思える楽観性

悲観的でも否定的でもなく楽観的に考えることも重要です。
失敗しても気持ちを切り替え、多少のミスは気にし過ぎないことです。何もかも楽観的では困りますが、悲観的になり過ぎて悪い方向にばかり考えてしまうと、物事の停滞をまねくどころか余計な失敗につながりかねません。長期的な視野を持って進む方向を見失わなければ対処できることは多いのではないでしょうか。

頼り上手になること

なんでも一人で抱えこんでしまう人はストレスを溜めこみがちです。一方でストレスに強い人は周りの人に上手に頼っています。相談することで心を開いて悩みを打ちあけるため、周りの人の協力を得られやすい状況を得ることができます。
また、自分にとって不得意なことが他の人にとっては得意である可能性もあるのです。人に頼られて嫌な気持ちがする人は少ないと思いますので、適度に人に頼ることをためしてみてはいかがでしょうか。

気分転換の方法をいくつも持っている

気分転換の方法を聞かれてすぐに答えれる人はストレスに強い可能性があります。
嫌な出来事があり憂うつな気分のときには、意識的に離れることで気持ちがリフレッシュされることがあります。そのあとに改めて問題を考えると意外に小さな問題であったことに気づくことすらあるのです。
いい仕事をするためには自分の気持ちやモチベーションが保たれメンタルヘルスの安定が大切です。

ここまでストレスに強いとされる人の特徴を解説してきました。
皆さまにもいくつか当てはまった項目はありましたでしょうか。どれか一つでも意識して行動することで、仕事やプライベートでのストレスが軽減すれば幸いです。


著者:伊藤 直
精神科専門医
医療法人社団 平成医会「平成かぐらクリニック」院長
一般社団法人 健康職場推進機構 理事長


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