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姿勢とメンタルヘルス

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姿勢の良し悪しが健康に影響することが様々な研究で示されています。 気分が落ち込んでいる時に、猫背になってしまったり頭を下げてうなだれた姿勢になってはいませんか。心と身体は密接に関係しています。今回は姿勢がメンタルヘルスに及ぼす影響を解説いたします。

メンタルヘルスコラム:姿勢とメンタルヘルス

メンタル疾患などで精神的なエネルギーが低下すると姿勢も悪くなる傾向にあります。心と身体は密接に繋がっているのです。心に不調があると身体にも何らかの不調が現れますし、逆に身体の不調が続けば心に不調がきたすこともあります。

姿勢が悪いことでのデメリット

姿勢が悪いことで以下のようなデメリットに繋がることがあります。
思い当たることがないか確認してみてください。

① 自律神経のバランスが乱れる

姿勢が悪いと息を吸うときに横隔膜や肋骨をうまく動かせず、十分な空気を体内に入れることができません。
そのため呼吸が浅くなり交感神経が優位な状態が続きます。身体は緊張状態になり、呼吸が浅いことで血液の流れが悪くなると、疲れやすく動きにくい身体になってしまいます。
自律神経のバランスが崩れると脳内神経伝達物質の活動も抑制し、精神的な不安にも繋がってしまうのです。

② 肩こりや腰痛を伴う

姿勢の悪さから筋肉や関節に緊張が伴います。余計な負担を与えることで肩こりや腰痛を引き起こすことがあります。姿勢が悪い状態が続くと慢性化し、さらに悪化させてしまうこともあります。

③ 代謝が下がり太りやすい身体になる

猫背の姿勢は骨盤や内臓の位置がずれて負担がかかりやすくなります。負担がかかり過ぎると内臓が正常な働きを妨げるようなり消化吸収がうまくできなくなるのです。そうすると代謝が悪くなり身体が痩せにくい状態になります。

④ 光を身体に取り込みにくくなる

うつむいて前かがみになっている状態は悪い姿勢に当てはまります。
この姿勢では目から入る光をうまく取り込みづらくなります。
光は私たちの精神状態に大きな影響を与えています。そのため、うつ病の人が日光浴を勧められるのは、リズムを整え、セロトニンやメラトニンの生成に良い影響を与えるからです。
うつ病の一型に「季節性情動障害(SAD)」という疾患があり、これは別名「冬季うつ病」と呼ばれています。毎年冬になると日照時間が低下して十分な光を浴びれていないために抑うつ症状が出現するのがこの疾患です。光を取り組むことは大切なのです。詳しくは、「セロトニンの増加が心身の及ぼす効果(https://heisei-ikai.or.jp/column/serotonin/)」でもご紹介していますので興味がある方は是非ご覧ください。

良い姿勢とは

正しい姿勢を確認するために簡単な方法は背伸びをすることです。
両手を組み、手のひらを返しながら両腕を上に伸ばしたら、横を通ってストンと下ろします。この状態が良い姿勢です。この姿勢で鏡に映った自分を確認するのもよいですし、日常的に行うことで正しい姿勢を体にインプットすることもできます。
鏡に映った自分を確認する作業で特におすすめなのが以下のような方法です。
〇前から見て ①左右の足首の中間点 ②左右の膝関節の中間点 ③恥骨 ④剣状突起 ⑤上唇 ⑥眉間が垂直の一直線上にあること。
〇側面 は①外くるぶし ②膝関節のやや前方 ③もものつけね外側の骨(大転子) ④肩の中央 ⑤耳の穴が一直線上にある。
このように、正しい姿勢を意識することで私たちに良い影響を与えるのです。
メンタルヘルスコラム:正しい姿勢で健康的な生活を

正しい姿勢で健康的な生活を

姿勢が心身に与える影響が大きいことをおわかりいただけたでしょうか。
日常生活や習慣でできてしまった悪い姿勢を改善することは、簡単なことではありません。
意識することでおのずと良い姿勢はつくれるのものです。背骨が曲がり丸まったような姿勢は外見からも良い印象は与えづらいものです。背筋を伸ばすことで印象も良いですし、自分自身にとって前向きな気持ちにもさせてくれます。

落ち込んでいるときは、空を見上げてみてください。
日光を全身で浴びることでメンタルヘルスの向上を促します。

そして、デスクワークが中心の仕事をされている方は自身の癖が出やすく、長時間同じ姿勢でいることも多くなるため、背中が丸くなったり傾いた姿勢になることがあります。
常に背筋を伸ばしておくことは難しいかもしれませんが、同じ姿勢をなるべく取り続けないことが重要です。
そうは言っても、自力での解決が難しいときには接骨院や整体などに通って根本的に体のゆがみを整えてもらうこともよいでしょう。
日常生活で染みついたゆがみは普段から姿勢を正そうとする意識やストレッチなどだけでは改善が難しいこともありますので、骨格や筋肉のバランスを本来の状態に戻すためには専門家の手をかりてみることもおススメです。

皆さまもこれを機会に、正しい姿勢を理解して自分の中での良い姿勢を見つけ意識的に改善してみてはいかがでしょうか。正しい姿勢のことばかり考えると苦しくなってしまいますので、自分のペースで無理のない程度に適度に取り組んでみてください。


著者:伊藤 直
精神科専門医
医療法人社団 平成医会「平成かぐらクリニック」院長
一般社団法人 健康職場推進機構 理事長


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