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仕事を抱えすぎる社員と指示待ち社員への対応方法

  • メンタルヘルス
仕事を抱えすぎがちな人もいれば、主体性がなく指示がないと動けない人もいます。 マネジメントと一言でいっても難しいことは多くあります。 そこで今回は、私の著書でもある「精神科医が教える3秒で部下に好かれる方法」からそれぞれの対応方法のヒントを解説します。

メンタルヘルスコラム:仕事を抱えすぎる社員と指示待ち社員への対応方法

他者に配慮して引き受けた仕事の難しさ

多くの仕事を抱えていっぱいいっぱいな状態になり心配になってしまう人はいませんか。そのような人は、頑張り屋で人望も厚く仕事を頼むといつも引き受けてくれる傾向にあるので、無理をしがちです。

仕事には人のためだけにやる仕事と自分のためにやる仕事、大きく分けて2つがあるといいます。
詳しく説明すると、他者を配慮するがために引き受けている仕事と自分の成長につながるもしくは純粋にやっていて楽しいといった理由でやりたくてやっている仕事です。
長時間労働がうつにつながるという意見もありますが、仕事の苦しさというものは単純に時間だけで測れるものではありません。同じ仕事量を抱えていたとしても、他者への配慮のために引き受けた仕事はつらく、自分がやりたくてやっている仕事はそこまでつらくないものではないでしょうか。他者への配慮のために仕事を抱え込んでいる人はつらく、メンタル不調に陥りやすい傾向にあるといえます。

ストレス軽減のポイントは「自分軸」と「他人軸」

仕事を抱えていっぱいいっぱいになっている人に対しては、上司は仕事を減らしてあげる必要があります。口頭でのやりとりは感情が働いてしまうので、できるだけ紙やパソコン上でのやりとりがおすすめです。

① 仕事をリスト化する

現在抱えている仕事をリスト化させます。どんなに小さな仕事も書きもらさずすべて紙やExcelに書きます。

② 他者への配慮のための仕事とやりたい仕事を分類する

リスト化したものを他者への配慮からやっている仕事(職場の他の人のことを思ってやっている仕事)と、自分がやりたくてやっている仕事か分類します。ここで大事なポイントは上司ではなく本人が分類することです。

③ リストをもとに上司が仕事を減らす

「他人軸」に分けられた仕事を減らします。

④ 部下への励ましの声がけ

「あなたには自分軸のパフォーマンスを上げることに集中してほしい」と上司から伝えます。自分軸の仕事を一生懸命やることで、心身ともに健康になれるかもしれません。

メンタルヘルスコラム:仕事を抱えすぎる社員への励ましの声がけ

仕事を抱えすぎがちな一方で、指示がないと行動しない社員もいるのではないでしょうか。
ここからは、指示待ち社員への対応方法を考えていきます。

自信を失ってしまう「ダメ出し」はNG

自分から動くことが苦手で上司に指示を受けないと動けない人を指示待ち社員ということがあります。その原因に生い立ちや育てられ方、上司や働く環境にあるのかはわかりませんが、多くの場合「ダメ出し」によってやる気を失ってしまった可能性があります。「自分ならできる、だいじょうぶだ」という自己肯定感がさがって次のようなステップをたどってしまうのです。

① 自分に自信がなくなり、「自分で決めたり判断したら、きっと失敗する」と思うようになる。
 失敗を必要以上に恐れるようになる。
② みずから行動を起こすのがこわくなり、動けなくなる。
③ 人の指示を待ち、指示通りに動くことに安心感を得るようになる。

 
たとえ指示待ち社員であっても、それなりにやってこられるケースもあります。会議では最低限の発言にとどめ、他の誰かに賛同する、指示された仕事はそれなりにこなし、敵をつくらずうまくやっていくなどです。しかし、これは後輩が増えてリーダー職への昇進という段階になると通用しなくなります。

「ヨイ出し」で部下のモチベーションを向上

指示待ち社員に必要なことは上司が育て直しをすることです。
方法は簡単でダメ出しの反対に「ヨイ出し」をすることです。加点方式で、相手に自己肯定感の種を植えつけていきます。ヨイ出しは仕事のことだけでなく雑談のなかでも取り入れることはできます。
ヨイ出しの結果、自信が蓄積されると徐々に自己肯定感が育まれます。「やってみよう」という行動につながり、やがて「自分はできる」という自己効力感を得ることができるのです。

具体的なに期限をつけて奮起をうながす

ヨイ出しの次にするべきは期間入り言葉です。具体的には「今が〇〇するかどうかの時期なんじゃないかな」「今後1年間は自分の意見をもって行動すべき段階だね」などです。
精神科ではすでに具合がよくなったのに、会社にいくことをしぶる人に「時間」や「期限」を意識する声がけをすることがあります。十分な集中力やコミュニケーション力を有しているにもかかわらず、いまひとつ本人に勇気が足りない場合、「具体的な期限を区切った声がけ」は効果があります。
ただし、こういった声がけをするかどうかは、きちんと相手の状態を把握したうえで判断する必要があります。まだ自信がなく、おびえている状況ではないか。ヨイ出しをされて、自己肯定感や自己効力感が育っている状態か。判断には、ふだんから十分なコミュニケ―ションの機会を持ち、本音を話す状態にしておかないといけません。なかには家庭のことなど本人が別のことで悩んでいて、今はどうしても仕事に全力投球できない状況ということもあります。総合的な原因の有無にも注意が必要となります。

仕事を抱えすぎている社員や指示待ち社員と聞いて皆さまの会社に思い当たる方はいませんでしたか。ここに挙げた方法ですべて解決するということではありませんが、試してみると何かよい変化が起きるかもしれません。同様の内容でお困りの方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。


著者:伊藤 直
精神科専門医
医療法人社団 平成医会「平成かぐらクリニック」院長
一般社団法人 健康職場推進機構 理事長


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