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サーカディアンリズムと私たちの生活

  • メンタルヘルス
地球上の生物は生まれながらに生体リズム、「体内時計」を持っています。これは「サーカディアンリズム」とも呼ばれ、わたしたちの健康に深く関係があります。今回は、生体リズムの仕組みやリズムが崩れることによる弊害、また、生体リズムのコントロール方法を解説します。

メンタルヘルス:サーカディアンリズムと私たちの生活

「サーカディアンリズム」という言葉を聞いたことがありますか。
私たちの身体で起こる日内変動のことをサーカディアンリズムといいます。
健康のためには、生活リズムが大切であることは、みなさまもご存じかと思いますが、それは私たち生体として理にかなっていることなのです。今回は「サーカディアンリズム」について解説します。

サーカディアンリズムとは

地球上の生物が生まれながらにして持っている生体リズムは「体内時計」と呼ばれています。その中で、およそ24時間周期のものを「サーカディアンリズム」、日本語では「概日リズム(がいじつリズム)」と言います。このリズムを支配しているのは、脳の視床下部にある視交叉上核という部分であり、両目の網膜から大脳へ伸びる視神経の交わる場所にあります。

普段、体内時計を意識して過ごしている方は少ないと思いますが、多くの人が体内時計を認識するのは、海外旅行に行って「時差ぼけ」の状態になった時です。時差の大きい海外から戻ると海外の時間に慣れてしまい、睡眠サイクルが元に戻りにくくなるために起こります。

私たち人間のサーカディアンリズムは、24時間ではなく25時間の周期になっているといわれています。1日は24時間ですので、サーカディアンリズムの方が1時間長いと考えられており、少しずつ夜型になりやすくなっています。

ではなぜ、1日に1時間ずつずれることなく、私たちは生活することが出来ているのでしょうか?

同調因子の調整機能

私たちの心身は、「同調因子」によって調整されています。
同調因子には様々なものがあります。代表的なものは、「光」「時間を認識するもの」「仕事や学業などの外出習慣」「食事」「運動」などです。これらによって、25時間の周期が24時間へとリセットされ、私たちは日々規則的な生活を送ることができています。

そして、サーカディアンリズムに大きく影響を受けているのは、「体温」「血圧」「睡眠」「ホルモン」です。

体温や血圧との関連

私たちの体温は、早朝が最も低く、次第に上昇し、夕方が最も高くなっています。また、血圧も夜間に下がり、起床とともに上昇していきます。ちなみに、血圧はストレスの影響を強く受けています。休日明けでストレスがかかりやすい月曜日には、「モーニングサージ」と言われる朝の血圧の上昇幅がより一層大きくなることが知られています。

睡眠・ホルモンによる影響

睡眠・ホルモンによる影響

メラトニンとセロトニンというホルモンがサーカディアンリズム(特に睡眠)と深く関わっています。

メラトニンは「睡眠ホルモン」と呼ばれ、夜眠っている時に出ているホルモンです。メラトニンは光の影響を受けやすく、日中は光の影響で抑制され、夜になり、暗くなることで、分泌量が増えていく仕組みになっています。メラトニンが不足すると、寝つきが悪くなったり、中途覚醒をするなどの睡眠障害が起こりやすくなると言われています。
一方、セロトニンはメラトニンとは逆で、日中、光をしっかり浴びることで分泌量が増えていくホルモンです。セロトニンは精神のバランスをとる役割があり、セロトニンが不足すると、心のバランスが崩れ、気分が重くなったり、感情のコントロールが不安定になったり、場合によってはうつ状態になることがあります。
メラトニンはセロトニンを原料としていますので、昼間は光を浴びることで、セロトニンの分泌を良くし、夜間は明るい光を抑えて、メラトニンの分泌量を抑制しないようにしていくことが大切です。

サーカディアンリズムが乱れると

サーカディアンリズムが乱れてしまうと、睡眠のリズムに障害が出る「概日リズム睡眠障害」という状態になります。
若い方に多いのは、「睡眠相後退症候群」であり、夜更かしや徹夜を続けていることで、朝起きられなくなってしまう状態です。このことにより、学校や勤務先に遅刻をしたり、欠席・欠勤することが増えてしまうという問題が生じます。
一方で、高齢者に多いのは、「睡眠相前進症候群」であり、早すぎる就寝により夜中に目が覚めて眠れなくなる状態です。ご高齢の方が「眠れなくて困っている」と話され、よくよく事情を聞いてみると、夜7時には寝てしまっているとのこと。それでは、夜中の1時に目が覚めてしまうのも無理がないと思ってしまいます。

サーカディアンリズムが狂うと、不眠症だけでなく、精神疾患、肥満、高血圧、糖尿病などの生活習慣病も引き起こされると言われています。

どのようにサーカディアンリズムをコントロールすれば良いのか

サーカディアンリズムを正常にコントロールすることに最も有効なのは、光(太陽光)です。朝になり、太陽の光を浴びることで、サーカディアンリズムがリセットされるといわれています。
また、毎朝同じ時間に起床し、朝食を摂り、勤務先や学校に行くといった行動もサーカディアンリズムを整えるのに重要な意味を持っています。

子供の頃から「規則正しい生活をしなさい」と周囲から言われてきたと思います。それは、規則正しい生活をしないことで、生活リズムが乱れ、結果として様々な弊害を引き起こすからだったのです。
ぜひ、生活リズムを見直し、上手にサーカディアンリズムをコントロールしていきましょう。


著者:金子 綾香
保健師
医療法人社団 平成医会


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