コーヒーを飲むことで得られる心身の効果
2022.06.20
- コラム
コーヒーのメリット
コーヒーを飲むことでどのようなメリットがあるのでしょうか。
①眠気覚ましとリラックス効果
コーヒーは眠気を引き起こすアデノシンの働きを抑えて、カフェインが脳を活性化させることで眠気を覚まします。コーヒーの香りにはリラックス効果もあるといわれています。焙煎の仕方によっても変化し、浅煎りと深煎りでは深煎りのほうが効果は高いようです。
②がんの予防
国立がん研究センターが実施した研究では、コーヒーを習慣的に飲む人は、飲まない人に比べて肝臓がんや女性の大腸がん発症率が低かったという結果がでています。コーヒーの抗炎症作用により、内臓を炎症から守り、がんの予防に繋がるとされています。
毎日コーヒーを飲む人は飲まない人に比べて肝臓がんの発生率が約半分に減少し、1日5杯以上飲む人では、肝がんの発生率は4分の1にまで低下するようです。さらに、同センターからコーヒーを習慣的に飲むことで、心臓病、脳卒中、呼吸器疾患による死亡リスクが低下するという報告もあります。これには、炎症を予防する効果のあるカフェインと、酸化を防ぐ効果のあるポリフェノールの相乗効果が関係してるようです。ポリフェノールは体の中でフェルラ酸という成分に代謝されることで血小板が固まるのを防ぎ、血液をサラサラにすることで血管が詰まりにくく脳梗塞や心筋梗塞を防いでくれると考えられています。
③脂肪の燃焼効果
脂肪の燃焼効果もあります。
カフェインが脂肪を分解する消化酵素であるリパーゼを活性化することで、脂肪が燃焼されます。運動する20~30分前にコーヒーを飲むと血中の脂肪酸濃度が上昇し脂肪を燃焼しやすくします。
また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸は脂肪を燃焼させてエネルギーに変換する働きを強める結果、脂肪が燃えやすい体を作ることに繋がります。
④糖尿病の発症リスクを下げる
がん予防と同様に国立がん研究センターから、コーヒーを習慣的に飲むことで糖尿病の発症リスクが低下したという研究結果も発表されました。コーヒーが糖尿病の予防に役立つ理由は明確には分かっていないようですが、ストレスが血糖コントロールを悪化させることから、コーヒーのストレス緩和効果が注目されています。
⑤大腸の働きをサポート
カフェインには大腸の働きを活性化させる効果もあるといわれています。
大腸の働きが活性化することで、体内に取り入れた食べ物の消化が早くなり、お腹の調子をよくします。カフェインとともに、コーヒーに含まれるコーヒーオリゴ糖は、腸内に存在する善玉菌のエサとなって腸内環境を整えます。この胃腸の働きを活性化させる効果・効能に着目して、そこに特化したコーヒーも販売されています。
コーヒーの飲みすぎによる注意点
コーヒーを飲み過ぎるとカフェインの弊害もあるため、飲み過ぎには注意が必要です。
なぜ、飲み過ぎはよくないのでしょうか。
カフェインの過剰摂取は不眠症や精神の不安定に繋がるといわれています。
また、利尿作用もあるため脱水症状にも注意が必要です。
カフェインの過剰摂取によって起こる症状は、心拍数の増加、めまい、興奮、不安、震え、吐き気などがあります。また、継続的なカフェイン摂取でカフェインへの耐性ができ、量を求めるようになることでカフェイン依存症の心配もでてきます。さらに、コーヒーに含まれるタンニンが鉄分と結びついて鉄分の吸収を阻害するため、貧血を引き起こすことがあります。貧血を起こしやすい体質の人はコーヒーの飲みすぎには注意しましょう。
1日のコーヒーの適切な摂取量は、カフェインに対する感受性は個人差が大きいため明確に決められていません。しかし、諸外国のカフェイン摂取量の目安を参考にすると1日3〜4杯にするのが、コーヒーの効果を得るための適切な量といえます。ここまで、コーヒーを飲むことで得られるメリットや注意点を解説しました。この機会に皆さまも生活の中にコーヒーを飲む時間を取り入れてみてはいかがでしょうか。
著者:塩入 裕亮
精神保健福祉士
医療法人社団 平成医会 「平成かぐらクリニック」 リワーク専任講師
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