マインドフルネスでストレス解消
2020.04.06
- メンタルヘルス
マインドフルネスとは、「今この瞬間の自分」に向き合い、現実をあるがままに受け入れることです。現在は、GoogleやYahoo!、Facebookなどの企業でもマインドフルネスが実践されており、世界的なアスリートも効果的に取り入れています。今回は、そのマインドフルネスについて解説いたします。
「今この瞬間」にただ集中すること
マインドフルネスは、自分の身体や気持ちの状態に気づくことを目的にしています。語源は、仏教の経典で使われている古代インドの言語の念(サティ)を英訳したもので、「心にとどめておくこと」「気づき」などと訳されます。欧米では、多くの研究報告があり、医療・教育・ビジネスの現場でストレス対処法として実践されています。
脳は体重の2%分ほどの重さしかありませんが、全身が必要とするエネルギーのうち20%も消費するといわれています。私たちは日常の出来事に対して様々なものに反応したり、1日に処理すべき情報量が多くなかなか休まる時間を持てません。頭の中では、不安や恐怖、変えられない過去、これからの未来をあれこれと考えすぎています。(情報過多とストレスとの関係性については、以前のコラムでも取り上げていますので、是非ご覧ください。)
そのため、日常生活の中で雑念や無駄な思考にとらわれることで、心が休まらず、うまくストレスに対応することができなくなってしまいます。そんな状態を改善することを手助けするのが、マインドフルネスなのです。「今この瞬間」に意識を向けることで、外部の出来事に気をとられなくなり、雑念を持たないため、リラックスして今だけに集中して研ぎ澄まされている状態になります。そして、主観的な考えから客観的な考えへ変化するのです。
最新の脳科学では、マインドフルネスによってストレスの軽減や集中力の向上、自律神経の回復など効果が実証され、アメリカではGoogleをはじめマッキンゼー、インテルといった企業のほか、政府機関の研修でも取り入れられています。また、小学校などの教育機関でマインドフルネスを取り入れた結果、子どもたちのいじめや差別が減ったという報告もあるようです。
マインドフルネスの実践法
それでは、簡単なマインドフルネスの実践方法をご紹介いたします。
・肩の力を抜いて深呼吸を2度行い、軽く目を閉じる。
・鼻呼吸を行い呼吸に意識を向ける。
・お腹を意識しながら全身に息が行き渡るのを感じる。
・肺に残っている息を吐き切るイメージでゆっくりと息を吐く。
・5分程度行ったらゆっくりと目を開き、少しずつ意識を戻していく。
マインドフルネスでは、呼吸に重点が置かれそこに意識を集中させます。呼吸に意識を向けるのは、雑念から離れ現在の状況に集中するためです。呼吸する際には、呼吸以外のことに注意がそれないようにしなければなりません。その時に深呼吸のような深い息ではなく、普段からしている自然な呼吸を意識してください。初めてマインドフルネスを行う方は、息をしたときのお腹が膨らんだりへこんだりする動作に意識を向けてみると良いでしょう。
呼吸以外のものに意識が向いたら、呼吸に意識を引き戻していくことを繰り返していくのが上手く行うコツです。静かな場所で、10~15分程度行うことをおすすめします。
マインドフルネスの様々な効果
常に穏やかな心を保つことができるので、リラックスができるのはもちろんのこと、心身の総合的な健康にも良い影響を与えます。
自律神経が整うことにより、副交感神経が優位となりストレスの軽減や睡眠の質の向上に繋がります。
また、マインドフルネスを用いて、現在と過去の出来事を切り離してとらえることで、物事の受け止め方が前向きになると言われています。そして、1つのことに深く集中するため、集中力も向上します。
さらに、ハーバード大学の研究によると、マインドフルネス瞑想を8週間行うことで、脳の中で怒りなどの感情を作り出す扁桃体の働きが小さくなることや学習や記憶をつかさどっている海馬の肥大、脳の幸福感を感じる部分左前頭葉前部皮質が発達することが明らかになりました。
瞑想以外にもマインドフルネスに近づく方法として、頭の中に浮かんだことを書き出していくジャーナリングと呼ばれるものや、食事をしながら行うもの、耳を澄まし、聴こえてくる音に集中するマインドリスニングと呼ばれるものなどもあります。
マインドフルネスには、脳や心のデトックス効果があり、それを実践することで自分自身と向き合い、自分に関わるすべての状況を受け入れ、「今この瞬間」に意識を集中することで、生活の質を改善することができるのです。継続して実践することが理想的ですが、まずは自分のできる範囲で始めてみてはいかがでしょうか。
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