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燃え尽き症候群になりやすい人の傾向と対策

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最近、目標や期待していたことが喪失したり、魅力的にに感じられなくなってはいませんか?人は、頑張りの限界を超えてしまうと心のエネルギーがゼロになり、燃え尽きたように意欲を失ってしまうことがあります。今回は、その傾向と対策について解説します。

メンタルヘルスコラム:燃え尽き症候群のの症状

仕事などに一生懸命没頭したにもかかわらず、本人が期待した結果が得られないといった不満感や疲労感により、あたかも「燃え尽きたように」意欲を失ってしまう状態を燃え尽き症候群(バーンアウト)といいます。目標ややらなければならないことに追われ、緊張の糸が切れた瞬間に、極度の疲労感や何も手につかない感覚に襲われることがあります。主に、エネルギーが燃え尽きてしまうので精神的なエネルギーの低下・枯渇が燃え尽き症候群の主な症状です。

燃え尽き症候群の症状

燃え尽き症候群の症状を確認するために、MBI(Maslach Burnout Inventory)というチェックツールが使用されることがあります。MBIは燃え尽き症候群をチェックするための項目として、「情緒の枯渇」、「脱人格化」、「個人的達成感の減少」の3つがあります。

情緒の枯渇

一生懸命頑張っていたけれど、努力する方法に無理があった場合、その頑張りは限界を超えて心のエネルギーはゼロになります。エネルギーが枯渇して、心と身体がついていかないため何も出来なくなってしまうのです。この症状は、突然現れることも徐々に現れることもあります。また、燃え尽き症候群では、症状が燃え尽きている対象(仕事など)に対して強くみられ、それ以外の対象に対しては見られないという傾向があるのも特徴の一つです。無理をしている事実を認めたくない感情が、自身を誤魔化し続けることで心身に悪影響を与えます。

脱人格化

燃え尽き症候群になると、相手に対しての対応が冷淡になることや事務的になることがあるといいます。具体的には、人を援助する職種(医療職、介護職、教職など)が、その対象となる相手(患者、利用者、生徒など)に対して冷淡な対応を取るようになるのです。今までは親身になって対象者へ寄り添っていいたような人が、急によそよそしい態度になったり、事務的な態度になるのです。さらに、相手に対して攻撃的になったり、露骨にイライラした態度を示すこともあります。このようになる理由として、心が燃え尽きてしまわないように防衛しているといわれています。すなわち、冷たく振舞うことで、余計なエネルギーを使わないようにしているのです。

メンタルヘルスコラム:燃え尽き症候群と自己理解

個人的達成感の減少

燃え尽き症候群が始まると、目標にしていたことや期待していたことが喪失してしまい、対象に対して魅力や達成感を感じられなくなってしまうことがあります。また、これまで自信を持ってきた事に対して、徐々に自信を喪失してしまうこともあります。結果として、作業のパフォーマンスは低下してしまいます。このパフォーマンス低下は、本人だけではなく職場全体のパフォーマンスに影響を与える可能性があることも研究により明らかになりました。さらに、達成感が感じられなくなるだけでなく、進行度合いによっては、絶望感や虚無感をより強く感じるようになることもあります。

この他にも、燃え尽き症候群で出現しやすい症状がいくつかあります。それは、身体を酷使したことから、心も徐々にすり減っていくのです。そのため、自律神経のバランスは崩壊し、頭痛、腹痛、下痢、不眠、疲労感、食欲低下など、非常に多岐に渡る症状が出現する可能性があります。すなわち、ストレスと関係する健康上の問題を抱えることになるのです。

燃え尽き症候群と自己理解

第一に、現在の自分の状況を受け入れることが大切です。
「燃え尽きた」ということは、懸命に努力した結果です。まずは、心のエネルギー量が低下して、何も行動する気持ちになれなくなるまで頑張ることができた自分を褒めてあげてください。
ある事柄に対して視点を変えて物事を考えることをリフレーミングといいますが、気持ちが落ち込んでいると様々なことに対して、ネガティブ補正がかかってしまいがちです。しかし、物の捉え方をポジティブにする癖をつけることで、生きた方が楽になることもあります。
そして、しっかりと休みましょう。燃え尽き症候群になる人は、真面目で頑張り屋な方が多い傾向にあるので、勇気を持って休むという決断をすることは症状の改善には有効です。気分転換をするために、日常から離れ何もしない時間を作るとよいでしょう。心と身体に余裕ができたら、新たに熱中できるものを探すことも良いでしょう。「喪失感」だけではなく「新たな期待」に胸を弾ませることで、生きる活力になるかもしれません。

最後に、燃え尽きるほど頑張って達成できた目標の意味を知り、これからの人生にどのように活かせるのかを考え前に進むことも重要です。これまで行ってきた経験を、周りの人に伝えることで、救われる人は大勢いるはずです。過去を振り返ったときに、一生懸命に頑張った経験は色濃く残ります。自身を大切にして、人生を彩り豊かなものにしていけると良いですね。


著者:塩入 裕亮
精神保健福祉士
医療法人社団 平成医会 「平成かぐらクリニック」 リワーク専任講師


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